正解:ア
各選択肢の解説
ア粗利益は変わらず、営業利益が委託費の分だけ減る。
正解。粗利益は売上高から売上原価だけを引いた段階の利益です。 販売費及び一般管理費はその次の段階で引かれるので、減るのは営業利益からです。
イ粗利益と営業利益が、どちらも委託費の分だけ減る。
誤り。委託費を売上原価として扱った場合の動きです。小売業の売上原価は、 売れた商品の仕入原価です。監視の委託費は商品の仕入ではないので、粗利益には入りません。
ウ粗利益だけが減り、営業利益は変わらない。
誤り。利益の段階の順序が逆になっています。営業利益は粗利益から販売費及び一般管理費を 引いて求めるので、粗利益が減れば営業利益も必ず減ります。粗利益だけが減ることはありません。
エ粗利益も営業利益も変わらず、当期純利益だけが減る。
誤り。本業と関係の薄い臨時の損失(特別損失など)のような扱いです。 セキュリティ監視は事業を続けるために毎期かかる本業の費用なので、営業利益の段階で引かれます。
理解を深めるために
費用は「どの段で引かれるか」で効く利益が決まる
損益計算書は、売上高から費用を段階ごとに引いて、利益を何段にも分けて示します。 ある費用が増えたとき、それより上の段の利益は変わらず、その段から下の利益がすべて減ります。
段の順序
- 売上高 − 売上原価 = 粗利益(売上総利益)
- 粗利益 − 販売費及び一般管理費 = 営業利益
- その後、営業外の損益や特別損益、税金を加減して当期純利益に至る
小売業の売上原価は、売れた商品の仕入原価です。本社の情報システム部門が払う監視の委託費は、 会社全体を管理・運営するための費用なので、販売費及び一般管理費に入ります。 したがって粗利益は動かず、営業利益から下が委託費の分だけ減ります。
セキュリティ対策費の多くは、この「販売費及び一般管理費」に入ります。 経営層に説明するときは、「粗利益は変わらないが、本業のもうけである営業利益を押し下げる費用」と 位置づけると、何と比べて費用対効果を示すべきかがはっきりします。
選択肢の扱いの違い
| 委託費の扱い | 粗利益 | 営業利益 |
|---|---|---|
| 販売費及び一般管理費 | 変わらない | 減る |
| 売上原価とみる | 減る | 減る |
| 段の順序を逆にみる | 減る | 変わらない(あり得ない) |
| 特別損失のようにみる | 変わらない | 変わらない |
費用がどの段で引かれるかを先に決め、そこから下の利益が減ると考えれば迷いません。