問題 6★★★

本社と工場をインターネットVPNで結んでいる。新たに取引先と結んだ契約で、 拠点間の通信をインターネットを経由させずに行うことが求められた。 セキュリティ担当者が提案する対応として、最も適切なものはどれか。

正解:エ

各選択肢の解説

  1. アインターネットVPNの暗号方式を、より強度の高いものに変更する。

    誤り。暗号を強くすれば盗み見への耐性は上がりますが、通信が通る経路は インターネットのままです。「VPNだから閉じた網を通る」という誤解から選びやすい選択肢で、 契約が求めているのは暗号の強さではなく経路です。

  2. イ拠点間のファイルのやり取りを、HTTPSで接続するオンラインストレージに切り替える。

    誤り。HTTPSは通信をTLSで暗号化しますが、オンラインストレージへは インターネットを通ってつなぎます。暗号化されることと、インターネットを経由しないことは 別の条件です。

  3. ウ工場のルータでインターネット宛ての通信を遮断し、本社とのVPN通信だけを許可する。

    誤り。インターネットVPNは、インターネットの上に暗号化した通り道を作る方式です。 他の宛先を遮断しても、本社とのVPN通信そのものがインターネットを通るので、 条件を満たしません。

  4. エ通信事業者が提供するIP-VPNに切り替え、事業者の閉域網で拠点間を結ぶ。

    正解。IP-VPNは、通信事業者が契約者だけに提供する閉じたネットワーク(閉域網)を 使って拠点間を結ぶので、通信がインターネットを経由しません。

理解を深めるために

公道を走る装甲車か、私道を走る車か

インターネットVPNは、誰でも通る公道(インターネット)の上を、中が見えない装甲車 (暗号化した通り道)で走るような方式です。中身は守られますが、走っている道は公道です。 IP-VPNは、通信事業者が契約者のために用意した私道(閉域網)を走る方式で、 そもそも公道に出ません。

なぜ暗号化しても条件を満たさないのか

取引先が求めているのは「インターネットを経由しないこと」、つまり経路の条件です。 暗号の強さや、通す宛先の絞り込みは、通信の中身や範囲を守る対策で、経路は変わりません。

  • インターネットVPN: 各拠点の既存のインターネット回線を使えるので費用を抑えやすい。 インターネットを通るため、IPsecなどによる暗号化が欠かせない
  • IP-VPN: 通信事業者の閉域網を使うので、インターネット上の不特定の相手から切り離される。 事業者との契約が要り、費用は一般にインターネットVPNより高い

どちらを選ぶかは、費用だけでなく、契約や扱う情報が求める条件で決めます。

混同しやすいものとの違い

方式・対策 通る経路 守るもの
IP-VPN 通信事業者の閉域網 経路をインターネットから切り離す
インターネットVPN インターネット 暗号化で中身を守る
HTTPS(オンラインストレージ) インターネット Webとの通信の中身を暗号化する
ルータでの宛先の遮断 変わらない 通信できる相手を絞る

試験では「暗号化されているか」と「どの網を通るか」を分けて読めるかが問われます。 条件が経路なら、閉域網を使う方式を選びます。

前の問題へ次の問題へ