正解:ウ
各選択肢の解説
ア実被害が生じていないので、届出の対象にはならない。
誤り。被害が出たときだけの制度だと思われがちですが、IPAは未遂で実被害が なかった場合も届出への協力を求めています。「どんなウイルスが、どの経路で 来たか」という情報そのものが、他社の被害を防ぐ材料になるからです。
イ犯人の捜査を依頼するため、警察に届け出る制度である。
誤り。捜査や処罰を求める相談先は警察のサイバー犯罪相談窓口です。 ウイルス届出制度の届出先はIPAで、目的は犯人探しではなく、被害の拡大と 再発の防止に役立てることです。届け出る先と目的がどちらも違います。
ウ実被害がなくても、発見した事実をIPAに届け出ることができる。
正解。この制度は被害の拡大と再発の防止に役立てるためのものなので、 検知して止められた未遂の事例も届出の対象として受け付けています。
エ法律で届出が義務付けられており、届け出ないと罰則がある。
誤り。この制度は経済産業省(当時の通商産業省)の告示であるコンピュータ ウイルス対策基準に基づくもので、届出は協力を求める任意のものです。 罰則付きの報告義務は、個人情報の漏えい時の報告など別の制度の話です。
理解を深めるために
「止められた」情報にも価値がある
火災報知器が鳴らずに済んだボヤでも、消防に「どこから火が出かけたか」を 伝えておけば、同じ型の火事を防ぐ手がかりになります。 コンピュータウイルス届出制度も同じ発想です。ウイルスを見つけたら、 実被害がなくてもIPAに届け出てよく、IPAも未遂の事例の届出に協力を求めています。
なぜ未遂でも受け付けるのか
- 制度の根拠は、経済産業省(当時の通商産業省)の告示であるコンピュータウイルス対策基準
- 届出先は独立行政法人情報処理推進機構(IPA)
- 目的は被害の拡大と再発の防止。集めた情報は事例や統計として公表される
- 届出は任意で、罰則はない
どのウイルスがどんな経路で届いたかは、検知できた会社にとっては済んだ話でも、 まだ検知できていない会社にとっては予防の材料になります。 被害の有無ではなく、情報を共有して次の被害を防ぐことが制度の中心です。
混同しやすいものとの違い
| 相手・制度 | 目的 | 性格 |
|---|---|---|
| コンピュータウイルス届出制度(IPA) | 被害の拡大と再発の防止 | 告示に基づく任意の届出 |
| 警察のサイバー犯罪相談窓口 | 犯罪の捜査・処罰 | 被害者としての相談 |
| 個人情報保護委員会への漏えい等の報告 | 本人の権利利益の保護 | 法律に基づく義務 |
試験では「届出先はIPA」「実被害がなくても届け出る」の2点が問われやすいところです。 犯人探しの制度ではないと押さえておけば、警察との取り違えは防げます。