正解:ウ
各選択肢の解説
ア紛失したUSBメモリにあった名簿を、手元で元どおりに復元して使える。
誤り。これはバックアップの効果です。暗号化はデータの写しを別の場所に残す 仕組みではないので、失われたファイルは戻りません。暗号文を平文に戻す「復号」と、 失ったデータを取り戻す「復元」は別の言葉です。
イ名簿を作成したのが自社の担当者であることを、第三者に証明できる。
誤り。これはデジタル署名の効果です。署名は作成者と改ざんの有無を示すための 技術で、内容を隠す暗号化とは目的が違います。「誰が作ったか」を示すのか、 「誰にも読ませない」のかで区別します。
ウ拾った第三者が復号鍵を持たない限り、名簿の内容を読み取れない。
正解。暗号化は、暗号鍵を使ってデータを意味の分からない暗号文に変える技術です。 元に戻すには復号鍵が要るので、USBメモリが他人の手に渡っても、 鍵を知られていなければ内容は漏れません。
エ紛失したUSBメモリの現在の位置を調べ、遠隔操作で名簿を消去できる。
誤り。これは通信機能を持つスマートフォンなどを管理する仕組みの機能です。 暗号化はデータそのものを読めなくするだけで、媒体の場所を追ったり 操作したりはできません。守り方が「読ませない」か「消す」かで違います。
理解を深めるために
暗号化は「拾われても読めない」ようにする
日記を自分にしか分からない暗号で書いておけば、落として誰かに拾われても 中身は知られません。ただし日記そのものは戻ってきませんし、落とした場所も 分かりません。暗号化の効果はこれと同じです。
暗号化は、暗号鍵を使って平文(そのまま読めるデータ)を暗号文に変えることです。 暗号文を平文に戻すことを復号といい、これには復号鍵が要ります。 復号鍵を持たない人には、暗号文は意味のない文字の並びにしか見えません。
守れるものと守れないもの
暗号化が守るのは、情報セキュリティの要素でいう機密性、つまり 「許可された人だけが内容を読める」ことです。
- 守れる:媒体が他人の手に渡ったときの内容の漏えい
- 守れない:データが失われること、媒体が戻らないこと
だから持出し用の媒体では、暗号化に加えてバックアップも取っておきます。 また、復号鍵やパスワードを媒体に貼り付けていれば、暗号化の意味はなくなります。 暗号の強さは鍵の管理で決まります。
混同しやすいものとの違い
| 技術・対策 | 得られる効果 |
|---|---|
| 暗号化 | 復号鍵を持たない人に内容を読ませない |
| バックアップ | 失われたデータを写しから取り戻す |
| デジタル署名 | 作成者が本人であること、改ざんされていないことを示す |
| 遠隔操作による消去 | 紛失した端末のデータを離れた場所から消す |
試験では「漏えいを防ぐ話か、失ったものを取り戻す話か、作成者を示す話か」で 切り分けます。暗号化は漏えいを防ぐ話です。