問題 41★★☆

営業担当者が、顧客名簿のファイルを暗号化してUSBメモリに保存し、持ち出していた。 外出先でこのUSBメモリを紛失したとき、ファイルを暗号化していたことで 期待できる効果として、最も適切なものはどれか。

正解:ウ

各選択肢の解説

  1. ア紛失したUSBメモリにあった名簿を、手元で元どおりに復元して使える。

    誤り。これはバックアップの効果です。暗号化はデータの写しを別の場所に残す 仕組みではないので、失われたファイルは戻りません。暗号文を平文に戻す「復号」と、 失ったデータを取り戻す「復元」は別の言葉です。

  2. イ名簿を作成したのが自社の担当者であることを、第三者に証明できる。

    誤り。これはデジタル署名の効果です。署名は作成者と改ざんの有無を示すための 技術で、内容を隠す暗号化とは目的が違います。「誰が作ったか」を示すのか、 「誰にも読ませない」のかで区別します。

  3. ウ拾った第三者が復号鍵を持たない限り、名簿の内容を読み取れない。

    正解。暗号化は、暗号鍵を使ってデータを意味の分からない暗号文に変える技術です。 元に戻すには復号鍵が要るので、USBメモリが他人の手に渡っても、 鍵を知られていなければ内容は漏れません。

  4. エ紛失したUSBメモリの現在の位置を調べ、遠隔操作で名簿を消去できる。

    誤り。これは通信機能を持つスマートフォンなどを管理する仕組みの機能です。 暗号化はデータそのものを読めなくするだけで、媒体の場所を追ったり 操作したりはできません。守り方が「読ませない」か「消す」かで違います。

理解を深めるために

暗号化は「拾われても読めない」ようにする

日記を自分にしか分からない暗号で書いておけば、落として誰かに拾われても 中身は知られません。ただし日記そのものは戻ってきませんし、落とした場所も 分かりません。暗号化の効果はこれと同じです。

暗号化は、暗号鍵を使って平文(そのまま読めるデータ)を暗号文に変えることです。 暗号文を平文に戻すことを復号といい、これには復号鍵が要ります。 復号鍵を持たない人には、暗号文は意味のない文字の並びにしか見えません。

守れるものと守れないもの

暗号化が守るのは、情報セキュリティの要素でいう機密性、つまり 「許可された人だけが内容を読める」ことです。

  • 守れる:媒体が他人の手に渡ったときの内容の漏えい
  • 守れない:データが失われること、媒体が戻らないこと

だから持出し用の媒体では、暗号化に加えてバックアップも取っておきます。 また、復号鍵やパスワードを媒体に貼り付けていれば、暗号化の意味はなくなります。 暗号の強さは鍵の管理で決まります。

混同しやすいものとの違い

技術・対策 得られる効果
暗号化 復号鍵を持たない人に内容を読ませない
バックアップ 失われたデータを写しから取り戻す
デジタル署名 作成者が本人であること、改ざんされていないことを示す
遠隔操作による消去 紛失した端末のデータを離れた場所から消す

試験では「漏えいを防ぐ話か、失ったものを取り戻す話か、作成者を示す話か」で 切り分けます。暗号化は漏えいを防ぐ話です。

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