正解:イ
各選択肢の解説
ア変革の目的と必要性を早い段階で示し、推進を後押しする経営層の支援を取り付ける。
誤り。これはプロセスの最初にあたる準備の取組みです。変革の土台として欠かせませんが、 C社は導入前に経営層が目的を説明しており、ここは手を付けています。 問題は、その後の進め方のどこが途切れたかです。
イ稼働後も新しい手順の利用状況を測り、逆戻りの原因に手を打って定着するまで支え続ける。
正解。新しいやり方は、使い始めただけでは元に戻りやすいものです。稼働後も 定着の度合いを確かめ、手を打ち続ける段階が必要ですが、C社は稼働日に 体制を解散したため、この段階が抜け落ちていました。
ウ新しい操作や手順を研修で教え、利用者が実際に使いこなせる状態にしてから稼働させる。
誤り。これは変化を実行する段階での取組みで、人が新しいやり方をできるように する支援です。C社は稼働前に部門ごとの研修を行っているため、欠けていたものには 当たりません。できるようになることと、続けることは別の段階です。
エ旧手順に戻る社員を抵抗勢力とみなし、説得の対象から外して賛同者だけで新手順を進める。
誤り。変革への抵抗は、多くの人に自然に生じる反応です。チェンジマネジメントでは、 抵抗を排除するのではなく、その理由(必要性に納得していない、やり方が分からない等)を 把握して対処します。外せば逆戻りはむしろ広がります。
理解を深めるために
稼働日はゴールではなく、折り返し地点
ダイエットで目標体重に届いた翌月にリバウンドする人は多いものです。 組織の変革も同じで、新しいシステムが動き出した日はまだ途中です。 人が新しいやり方を「当たり前」として続けるようになるまで見届けて、 はじめて変革が終わります。
チェンジマネジメントのプロセス
チェンジマネジメントは、変革を人の側から計画的に進める活動です。進め方の段階は 枠組みによって数も名前も違いますが、大きくは次の流れで説明されることが多いです。
- 準備 — 変える目的と必要性を示し、推進体制や経営層の後押しを整える
- 実行 — 計画に沿って説明や研修を行い、人が新しいやり方をできるように支える
- 定着 — 利用状況を測り、逆戻りの原因に手を打ち、新しいやり方を根付かせる
たとえばレヴィンは「解凍・変革・再凍結」、Prosci社は「準備・管理・定着」の3段階で 整理しています。どの枠組みでも、最後に定着させる段階を置いている点は共通です。 C社は準備と実行までは進めましたが、稼働日に体制を解散したため、定着の段階がありませんでした。
途中で生じる抵抗は、変革に付きものの反応として扱います。理由を聞き、 足りないもの(納得か、知識か、続ける仕組みか)を補うのが基本の向き合い方です。
混同しやすいものとの違い
| 取組み | プロセスでの位置づけ |
|---|---|
| 目的の説明と経営層の後押し | 準備(C社は実施済み) |
| 研修で使いこなせるようにする | 実行(C社は実施済み) |
| 稼働後の利用状況の把握と働きかけ | 定着(C社に欠けていた) |
| 抵抗する人を外す | どの段階でも適切でない(抵抗は理由を把握して対処する) |
試験では、段階の名前よりも「その取組みが変革のどの時点の、何のためのものか」で見分けます。