問題 37★★☆

A社は受発注システムを刷新することにした。次の取組みのうち、 個人のチェンジマネジメントに当たるものとして、最も適切なものはどれか。

正解:ウ

各選択肢の解説

  1. ア刷新の案件の中で、業務が変わる部署を洗い出し、部署ごとの説明会と研修の日程を計画する。

    誤り。これはプロジェクトのチェンジマネジメントに当たります。研修の対象は人ですが、 ひとつの案件の中で影響を受ける集団を特定し、移行の計画を立てる取組みです。 一人ひとりの状態を見て支援する個人のレベルとは、働きかける単位が違います。

  2. イ変革を進める手順と推進役の育成を全社共通の仕組みにし、次の変革でも使えるようにする。

    誤り。これは組織のチェンジマネジメントに当たります。今回の刷新に限らず、 変化に対応する力を会社の能力として備える取組みです。最終的に社員の行動を 変える点は共通しますが、対象は個人ではなく組織全体の仕組みです。

  3. ウ旧手順に戻りがちな社員と面談し、必要性の理解、意欲、操作の習得のどこでつまずくかを見極める。

    正解。変化は最終的に一人ひとりが受け入れて行動を変えることで実現します。 その人がどの段階で止まっているかを見極め、そこに合わせて支えるのが 個人のチェンジマネジメントです。

  4. エ旧システムから新システムへのデータ移行手順と、本番切替えの日時や判定基準を定める。

    誤り。これはシステム移行の計画で、データや稼働環境という技術面の切替えを扱います。 同じ「移行」でも、チェンジマネジメントが扱うのは人の理解や行動の移り変わりであり、 システムの切替え作業そのものではありません。

理解を深めるために

組織が変わるのは、一人ひとりが変わったとき

「部署の全員に説明会をした」のに、使っているのは一部の人だけ。こうしたことは 珍しくありません。同じ説明を聞いても、ある人は必要性に納得しておらず、 別の人は納得しているのに操作が分からない、というように、止まっている場所は 人によって違うからです。個人のチェンジマネジメントは、この一人ひとりの違いに 目を向けます。

個人のレベルで見るもの

変化を受け入れて行動を変えるまでには、おおむね次のような段階があります。

  • なぜ変える必要があるのかを理解する
  • 自分も変わろうという意欲を持つ
  • 新しいやり方を知り、実際にできるようになる
  • 元に戻らず、続けられるようにする

ADKAR(アドカー)モデルなど、この段階を整理した枠組みがあります。 段階の数や名前は枠組みによって違いますが、「その人がどこで止まっているかを見極めて、 そこに合った支援をする」という考え方は共通です。

混同しやすいものとの違い

取組み 何を単位に働きかけるか
個人のチェンジマネジメント 変化の影響を受ける一人ひとりの理解・意欲・行動
プロジェクトのチェンジマネジメント ひとつの案件で影響を受ける部署や集団の移行
組織のチェンジマネジメント 繰り返す変革に対応する、会社全体の仕組みと能力
システム移行の計画 データや稼働環境の技術的な切替え

試験では、働きかけの単位が「一人」「一案件」「会社全体」のどれかで見分けます。

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