正解:エ
各選択肢の解説
ア2社に分ければ障害にも漏えいにも強くなるので、設定の点検は従来どおりとする。
誤り。マルチクラウドで高まるのは、1社が止まっても業務を続けられる可用性です。 管理する環境が2つに増えるので、設定の誤りが入り込む場所はむしろ増えます。 漏えいへの強さは、分けただけでは上がりません。
イ片方の事業者がISMS認証を取得していれば、もう片方も同じ水準とみなす。
誤り。認証は取得した事業者の管理体制についての評価で、別の事業者には及びません。 また、事業者が認証を持っていても、IaaSでOSから上を設定するのは利用者です。 事業者ごとに確認が要ります。
ウ管理を簡単にするため、両社の管理者アカウントに同じパスワードを設定する。
誤り。使い回すと、一方で漏れたパスワードで両方の環境に入られます。障害に備えて 2社に分けたのに、認証情報が共通では1か所の漏えいが両方に及びます。 アカウントごとに別の認証情報を使い、多要素認証を組み合わせます。
エ事業者ごとに異なる設定の方法を踏まえ、共通の基準を定めて両方の設定を点検する。
正解。管理画面や設定の項目、ログの取り方は事業者ごとに違います。自社として 満たすべき基準を1つ定め、それぞれの環境で守られているかを確かめます。
理解を深めるために
2社に分けると、守る場所は2つに増える
マルチクラウドは、複数の事業者のクラウドを併用する形態です。1社が止まっても もう1社で業務を続けられるので、特定の事業者に依存するリスクを減らせます。 一方で、鍵を2本持つ家のように、管理しなければならないものは2倍になります。
なぜ共通の基準が要るのか
- 設定の方法が違う: 同じ「外部に公開しない」という設定でも、事業者ごとに 画面も項目の名前も違う。片方では閉じたつもりで、もう片方では開いていることが起こる
- ログの形式が違う: 何が記録されるか、どこに出るかが事業者ごとに違う。 調査のときに両方を突き合わせられるよう、取る項目をそろえておく
- 責任の分担は利用者に残る: IaaSでは、OSから上の設定は利用者の責任。 事業者を増やしても、この責任は移らない
このため、自社としての基準(公開の可否、アクセス権、暗号化、ログ)を1つ決め、 事業者ごとの設定に置き換えて点検します。
混同しやすい判断との違い
| 担当者の判断 | 適切か | 理由 |
|---|---|---|
| 共通の基準で両方の設定を点検する | 適切 | 設定の方法が違うので、基準をそろえて確かめる |
| 分ければ漏えいにも強いので従来どおり | 不適切 | 高まるのは可用性。管理する環境は増える |
| 片方のISMS認証で両方を同水準とみなす | 不適切 | 認証は取得した事業者だけの評価 |
| 両社で同じパスワードを使う | 不適切 | 1か所の漏えいが両方に及ぶ |
マルチクラウドの利点は「止まりにくさ」です。試験では、その利点と引き換えに 管理の手間と設定ミスの余地が増える点が問われます。