問題 4★★★

1社のクラウドの障害で業務が止まった反省から、2社のIaaSを併用するマルチクラウドに 移ることになった。情報セキュリティ担当者が移行に当たって行うこととして、 最も適切なものはどれか。

正解:エ

各選択肢の解説

  1. ア2社に分ければ障害にも漏えいにも強くなるので、設定の点検は従来どおりとする。

    誤り。マルチクラウドで高まるのは、1社が止まっても業務を続けられる可用性です。 管理する環境が2つに増えるので、設定の誤りが入り込む場所はむしろ増えます。 漏えいへの強さは、分けただけでは上がりません。

  2. イ片方の事業者がISMS認証を取得していれば、もう片方も同じ水準とみなす。

    誤り。認証は取得した事業者の管理体制についての評価で、別の事業者には及びません。 また、事業者が認証を持っていても、IaaSでOSから上を設定するのは利用者です。 事業者ごとに確認が要ります。

  3. ウ管理を簡単にするため、両社の管理者アカウントに同じパスワードを設定する。

    誤り。使い回すと、一方で漏れたパスワードで両方の環境に入られます。障害に備えて 2社に分けたのに、認証情報が共通では1か所の漏えいが両方に及びます。 アカウントごとに別の認証情報を使い、多要素認証を組み合わせます。

  4. エ事業者ごとに異なる設定の方法を踏まえ、共通の基準を定めて両方の設定を点検する。

    正解。管理画面や設定の項目、ログの取り方は事業者ごとに違います。自社として 満たすべき基準を1つ定め、それぞれの環境で守られているかを確かめます。

理解を深めるために

2社に分けると、守る場所は2つに増える

マルチクラウドは、複数の事業者のクラウドを併用する形態です。1社が止まっても もう1社で業務を続けられるので、特定の事業者に依存するリスクを減らせます。 一方で、鍵を2本持つ家のように、管理しなければならないものは2倍になります。

なぜ共通の基準が要るのか

  • 設定の方法が違う: 同じ「外部に公開しない」という設定でも、事業者ごとに 画面も項目の名前も違う。片方では閉じたつもりで、もう片方では開いていることが起こる
  • ログの形式が違う: 何が記録されるか、どこに出るかが事業者ごとに違う。 調査のときに両方を突き合わせられるよう、取る項目をそろえておく
  • 責任の分担は利用者に残る: IaaSでは、OSから上の設定は利用者の責任。 事業者を増やしても、この責任は移らない

このため、自社としての基準(公開の可否、アクセス権、暗号化、ログ)を1つ決め、 事業者ごとの設定に置き換えて点検します。

混同しやすい判断との違い

担当者の判断 適切か 理由
共通の基準で両方の設定を点検する 適切 設定の方法が違うので、基準をそろえて確かめる
分ければ漏えいにも強いので従来どおり 不適切 高まるのは可用性。管理する環境は増える
片方のISMS認証で両方を同水準とみなす 不適切 認証は取得した事業者だけの評価
両社で同じパスワードを使う 不適切 1か所の漏えいが両方に及ぶ

マルチクラウドの利点は「止まりにくさ」です。試験では、その利点と引き換えに 管理の手間と設定ミスの余地が増える点が問われます。

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