正解:ウ
各選択肢の解説
ア事業者の本社が国内にあるので、データも国内に保存されると判断する。
誤り。事業者の本社の所在地と、データを置くデータセンターの所在地は別の話です。 国内の事業者でも海外のリージョンを使うことがあります。規程が問うのは保存場所なので、 会社の国籍ではなく保存先そのものを確かめます。
イ通信がTLSで暗号化されるので、保存先の国は問わないと判断する。
誤り。TLSが守るのは通信の経路で、保存されたデータの所在地は変わりません。 保存先の国の法令が適用される点も、経路の暗号化では解消しません。 「どう運ぶか」と「どこに置くか」は別に確認します。
ウデータを保存するリージョンと、バックアップの保存先の国を確認する。
正解。クラウドでは保存場所をリージョンで選ぶのが一般的で、バックアップや複製が 別の地域に置かれることもあります。本番とバックアップの両方が規程に合うかを確かめます。
エ可用性を高めるため、データを複数の国のリージョンに複製する設定にする。
誤り。複数リージョンへの複製は可用性を高める正しい手段ですが、この場面では 国外に複製が置かれ、規程に反するおそれがあります。複製するなら、 国内の複数リージョンなど規程の範囲で選びます。
理解を深めるために
クラウドのデータは「どこにあるか」を自分で確かめる
オンプレミスなら、データは自社のサーバ室にあることが分かっています。クラウドでは データは事業者のデータセンターにあり、そのデータセンターがどの国にあるかは、 契約や設定を見ないと分かりません。倉庫を借りるときに「どの町の倉庫に置かれるか」を 確かめるのと同じで、保存場所は利用者が確認すべき事項です。
なぜリージョンとバックアップの両方を見るのか
- リージョン: クラウド事業者がデータセンターを置く地理的な区域。利用者が選べるサービスが多い
- データ保持の方法: 本番のデータとは別に、バックアップや複製をどこに、どれだけの期間置くか。 本番が国内でも、バックアップだけ海外ということがありうる
- 適用される法令: データが置かれた国の法令が及ぶことがある。保存場所の確認は、 その国の制度の影響を受けるかの確認でもある
国内での保存や運用を前提に、データの扱いを自国の法令の下に置くことを重視した クラウドをソブリンクラウドと呼ぶこともあります。保存場所への関心が高まっている表れです。
混同しやすい判断との違い
| 担当者の判断 | 適切か | 理由 |
|---|---|---|
| リージョンとバックアップの保存先を確認する | 適切 | 本番も複製も規程に合うかを確かめる |
| 本社が国内だから国内保存と判断 | 不適切 | 会社の所在地と保存場所は別 |
| TLSで暗号化されるから国は問わない | 不適切 | 経路の保護で、保存場所は変わらない |
| 複数の国のリージョンに複製 | 不適切 | 可用性は上がるが、国外保存で規程に反する |
保存場所を問う場面では、「どこに置かれるか」を本番とバックアップの両方で確かめることが 問われます。暗号化や可用性は大事ですが、別の問いへの答えです。