問題 1★★★

営業部門から、顧客の個人データを保存するSaaSの利用申請が出た。社内規程では 「顧客データは国内に保存する」と定めている。情報セキュリティ担当者が契約前に 行うこととして、最も適切なものはどれか。

正解:ウ

各選択肢の解説

  1. ア事業者の本社が国内にあるので、データも国内に保存されると判断する。

    誤り。事業者の本社の所在地と、データを置くデータセンターの所在地は別の話です。 国内の事業者でも海外のリージョンを使うことがあります。規程が問うのは保存場所なので、 会社の国籍ではなく保存先そのものを確かめます。

  2. イ通信がTLSで暗号化されるので、保存先の国は問わないと判断する。

    誤り。TLSが守るのは通信の経路で、保存されたデータの所在地は変わりません。 保存先の国の法令が適用される点も、経路の暗号化では解消しません。 「どう運ぶか」と「どこに置くか」は別に確認します。

  3. ウデータを保存するリージョンと、バックアップの保存先の国を確認する。

    正解。クラウドでは保存場所をリージョンで選ぶのが一般的で、バックアップや複製が 別の地域に置かれることもあります。本番とバックアップの両方が規程に合うかを確かめます。

  4. エ可用性を高めるため、データを複数の国のリージョンに複製する設定にする。

    誤り。複数リージョンへの複製は可用性を高める正しい手段ですが、この場面では 国外に複製が置かれ、規程に反するおそれがあります。複製するなら、 国内の複数リージョンなど規程の範囲で選びます。

理解を深めるために

クラウドのデータは「どこにあるか」を自分で確かめる

オンプレミスなら、データは自社のサーバ室にあることが分かっています。クラウドでは データは事業者のデータセンターにあり、そのデータセンターがどの国にあるかは、 契約や設定を見ないと分かりません。倉庫を借りるときに「どの町の倉庫に置かれるか」を 確かめるのと同じで、保存場所は利用者が確認すべき事項です。

なぜリージョンとバックアップの両方を見るのか

  • リージョン: クラウド事業者がデータセンターを置く地理的な区域。利用者が選べるサービスが多い
  • データ保持の方法: 本番のデータとは別に、バックアップや複製をどこに、どれだけの期間置くか。 本番が国内でも、バックアップだけ海外ということがありうる
  • 適用される法令: データが置かれた国の法令が及ぶことがある。保存場所の確認は、 その国の制度の影響を受けるかの確認でもある

国内での保存や運用を前提に、データの扱いを自国の法令の下に置くことを重視した クラウドをソブリンクラウドと呼ぶこともあります。保存場所への関心が高まっている表れです。

混同しやすい判断との違い

担当者の判断 適切か 理由
リージョンとバックアップの保存先を確認する 適切 本番も複製も規程に合うかを確かめる
本社が国内だから国内保存と判断 不適切 会社の所在地と保存場所は別
TLSで暗号化されるから国は問わない 不適切 経路の保護で、保存場所は変わらない
複数の国のリージョンに複製 不適切 可用性は上がるが、国外保存で規程に反する

保存場所を問う場面では、「どこに置かれるか」を本番とバックアップの両方で確かめることが 問われます。暗号化や可用性は大事ですが、別の問いへの答えです。

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