問題 20★★★

設計部門の担当者は、取引先と秘密保持契約を結んで預かった図面の説明文を、 会社が契約している生成AIサービスで作りたいと部員から相談された。 このサービスは入力を学習に使わない設定になっている。担当者の判断として最も適切なものはどれか。

正解:ウ

各選択肢の解説

  1. ア学習に使われない設定なので、図面の内容を含めて入力してよいと判断する。

    誤り。学習に使わない設定(オプトアウト)は、入力がモデルの学習に回らないことを 約束するだけです。入力した内容が社外の事業者のサーバに送られ、処理・保存されることは 変わらないので、預かった情報を外に出してよいかの答えにはなりません。

  2. イ取引先名と品番を伏せれば、図面の内容そのものは入力してよいと判断する。

    誤り。伏せ字は誰の情報かを分かりにくくする工夫ですが、秘密保持の対象は 図面の内容そのものです。名前を消しても守るべき中身は社外に渡るので、 契約上の扱いは変わりません。

  3. ウ入力は社外の事業者に渡るので、秘密保持契約と社内の情報区分で可否を確かめる。

    正解。学習に使われるかどうかとは別に、入力した時点で情報は事業者に渡ります。 預かった情報を外部のサービスに入れてよいかは、取引先との契約と社内の区分で決まります。

  4. エ入力後に会話の履歴を削除する手順を守れば、入力してよいと判断する。

    誤り。履歴の削除は利用者の画面から消す後始末で、入力した時点で事業者に 渡ったという事実は取り消せません。事業者側に一定期間記録が残る場合もあり、 入力してよいかの判断の代わりにはなりません。

理解を深めるために

「学習に使われない」と「外に出ない」は別のこと

鍵付きの貸し金庫に預けても、預けた時点で品物は銀行の手に渡っています。 生成AIサービスの「入力を学習に使わない」設定も同じで、モデルに覚えさせないという約束であって、 入力した情報が社外の事業者に届かないという意味ではありません。

なぜ契約と情報区分で確かめるのか

生成AIへの入力に伴う懸念は、入力した時点で情報が社外に渡ることから生じます。

  • クラウドの生成AIサービスでは、入力は事業者のサーバで処理され、一定期間保存されることがある
  • 取引先から秘密保持契約のもとで預かった情報は、使ってよい目的と、開示してよい相手が契約で決まっている
  • 自社の情報であっても、社内の情報区分(社外秘・機密など)ごとに外部サービスへの入力の可否が決まる

そのため、学習の設定や入力後の後始末ではなく、入力する前に「この情報をこのサービスに渡してよいか」を 契約と社内の区分に照らして確かめます。認められない場合は、図面の内容を含まない形で依頼するか、 取引先の了解を得るといった手当てが要ります。

混同しやすいものとの違い

対応 何を防げるか
契約と情報区分で入力の可否を確かめる 渡してはいけない情報が社外に渡ること
学習に使わない設定(オプトアウト) 入力がモデルの学習に使われ、他の利用者への出力に混ざること
取引先名・品番の伏せ字 誰の情報かが分かること。中身の流出は防げない
会話の履歴の削除 自分の画面に残ること。事業者に渡った事実は残る

試験では、対策が「入力する前」に効くか「入力した後」に効くか、そして守ろうとしているのが 学習への利用か情報そのものの社外への提供かで選択肢を比べると選べます。

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