正解:ア
各選択肢の解説
ア利用者ごとに推測されにくい初期パスワードを本人だけに伝え、初回利用時に変更させる。
正解。初期パスワードは一時的なものとして、利用者ごとに異なる値を本人だけに渡し、 最初に使うときに本人が決めた値へ変えさせます。共通の値なら、同僚でも他人のアカウントに入れます。
イ共通の初期パスワードを長く複雑な文字列にし、知らせる先を本人と上司に限る。
誤り。強いパスワードにすれば、外部からの推測には強くなります。 しかし全員が同じ値を知っているので、部員どうしで他人のアカウントに入れる状態は変わりません。 問題は強さではなく、値が共通で変更されていないことです。
ウ管理者が全員のパスワードを台帳で管理し、忘れた部員には台帳を見て伝える。
誤り。管理者が利用者のパスワードを知っている状態では、本人だけが知る秘密になりません。 忘れたときに便利に見えますが、台帳が漏れると全員分が一度に漏れます。 忘れた場合は、本人確認のうえで新しい一時的な値を発行し直します。
エ初期パスワードは共通のままにし、ログイン時にICカードによる認証も求める。
誤り。多要素認証は認証を強める有効な手段ですが、共通の値を配る運用を直していません。 ICカードを借りられれば他人として入れるうえ、パスワードの要素は誰でも知っている状態です。 要素を足す前に、各要素を本人だけのものにします。
理解を深めるために
初期パスワードは「仮の鍵」
ホテルでは、宿泊客ごとに違う鍵を渡します。全室共通の鍵を渡して 「気になる人は後で付け替えてください」とは言いません。アカウントの初期パスワードも同じで、 利用者ごとに違う値を本人だけに渡し、最初に使うときに本人の値へ変えさせるのが基本です。 JIS Q 27002 では、認証情報の割当てと管理は組織的管理策の一つです。
なぜ共通の初期パスワードが問題なのか
- 共通の値は、配付の時点で全員が知っている。変更されないまま使われると、 同僚が他人になりすましてログインでき、操作の記録も本人のものと区別できない
- 初期パスワードは一時的な値として扱い、初回利用時の変更を仕組みで強制する
- 渡すときは、本人であることを確かめ、他の人に見られない手段で伝える
- 忘れたときは、管理者が元の値を教えるのではなく、新しい一時的な値を発行し直す
混同しやすい対策との違い
| 対策 | 何を直しているか | 共通の値の問題 |
|---|---|---|
| 利用者ごとの値・本人だけに伝達・初回に変更 | 値を本人だけのものにする | 解消する |
| 共通の値を長く複雑にする | 外部からの推測への強さ | 残る |
| 管理者が台帳で管理する | 忘れたときの手間 | 管理者も知っている状態になる |
| ICカードを追加する(多要素認証) | 認証の要素の数 | パスワードの要素は誰でも知っている |
認証情報の管理では、強さや要素の数より先に「その値を本人だけが知っているか」を確かめます。