正解:エ
各選択肢の解説
ア本番データをファイル暗号化して渡し、復号用のパスワードは別の経路で伝える。
誤り。暗号化が守るのは受け渡しの途中で、復号した委託先には全項目がそのまま見えます。 漏れては困る中身を相手に見せる点は変わりません。テストに値が要らないなら、 見せる中身そのものを減らすのが先です。
イ本番データをそのまま渡し、委託先と秘密保持契約を結んで目的外の利用を禁じる。
誤り。秘密保持契約は相手に守る義務を負わせる取決めで、委託するときには必要です。 ただし本物の顧客情報を渡すことに変わりはなく、委託先から漏れれば被害は本番と 同じです。契約は技術的に中身を減らす手段ではありません。
ウ委託先のアカウントに、本番データベースを読み取り専用で参照する権限を付与する。
誤り。読み取り専用にすると書き換えは防げますが、氏名やカード番号は見えます。 情報へのアクセス制限は「誰が何をできるか」を絞る管理策で、見せる中身を 変えるものではありません。
エ氏名・電話番号・カード番号を、形式を保ったまま別の値に置き換えてから渡す。
正解。データマスキングです。テストに要る件数と形式は残しつつ、本物の値を 見せないので、委託先から漏れても顧客の情報は出ていきません。
理解を深めるために
見せる必要のない中身は、最初から見せない
研修で使う申込書の見本を作るとき、本物のお客様の申込書をコピーして配る人はいません。 氏名や住所を「山田太郎」のような架空の値に置き換えます。書式の練習に本物の中身は 要らないからです。データマスキングは、これをデータに対して行う管理策です。
なぜ暗号化や契約では足りないのか
この場面のポイントは、委託先がテストに中身の値を必要としていないことです。
- 暗号化は、届いた後に復号すれば中身が全部見える。守れるのは途中の経路だけ
- 秘密保持契約は、守る義務を負わせるが、本物を渡している事実は変わらない
- 読み取り専用の権限は、書き換えを防ぐが、見ることは許している
どれも「本物を渡したうえで、どう守るか」の対策です。マスキングは 「本物を渡さない」対策なので、委託先で何が起きても顧客の情報は出ていきません。 形式を保って置き換えれば、桁数や項目の並びに依存するテストもそのまま行えます。
混同しやすいものとの違い
| 対策 | 委託先に見えるもの | 守れること |
|---|---|---|
| データマスキング | 形式だけ(値は別物) | 漏れても本物の値は出ない |
| ファイル暗号化 | 復号後は全項目 | 受け渡しの途中 |
| 秘密保持契約 | 全項目 | 相手の義務(技術的には防げない) |
| 読み取り専用のアクセス権 | 全項目 | 書き換え |
相手が何を必要としているかを先に確かめ、要らない中身はマスキングで消してから渡す、 という順番で考えると選びやすくなります。