問題 27★★★

システム改修のテスト用に、開発委託先から本番に近いデータがほしいと依頼された。 本番の顧客データには氏名・電話番号・カード番号が含まれるが、テストに必要なのは 件数と項目の形式だけである。渡し方として最も適切なものはどれか。

正解:エ

各選択肢の解説

  1. ア本番データをファイル暗号化して渡し、復号用のパスワードは別の経路で伝える。

    誤り。暗号化が守るのは受け渡しの途中で、復号した委託先には全項目がそのまま見えます。 漏れては困る中身を相手に見せる点は変わりません。テストに値が要らないなら、 見せる中身そのものを減らすのが先です。

  2. イ本番データをそのまま渡し、委託先と秘密保持契約を結んで目的外の利用を禁じる。

    誤り。秘密保持契約は相手に守る義務を負わせる取決めで、委託するときには必要です。 ただし本物の顧客情報を渡すことに変わりはなく、委託先から漏れれば被害は本番と 同じです。契約は技術的に中身を減らす手段ではありません。

  3. ウ委託先のアカウントに、本番データベースを読み取り専用で参照する権限を付与する。

    誤り。読み取り専用にすると書き換えは防げますが、氏名やカード番号は見えます。 情報へのアクセス制限は「誰が何をできるか」を絞る管理策で、見せる中身を 変えるものではありません。

  4. エ氏名・電話番号・カード番号を、形式を保ったまま別の値に置き換えてから渡す。

    正解。データマスキングです。テストに要る件数と形式は残しつつ、本物の値を 見せないので、委託先から漏れても顧客の情報は出ていきません。

理解を深めるために

見せる必要のない中身は、最初から見せない

研修で使う申込書の見本を作るとき、本物のお客様の申込書をコピーして配る人はいません。 氏名や住所を「山田太郎」のような架空の値に置き換えます。書式の練習に本物の中身は 要らないからです。データマスキングは、これをデータに対して行う管理策です。

なぜ暗号化や契約では足りないのか

この場面のポイントは、委託先がテストに中身の値を必要としていないことです。

  • 暗号化は、届いた後に復号すれば中身が全部見える。守れるのは途中の経路だけ
  • 秘密保持契約は、守る義務を負わせるが、本物を渡している事実は変わらない
  • 読み取り専用の権限は、書き換えを防ぐが、見ることは許している

どれも「本物を渡したうえで、どう守るか」の対策です。マスキングは 「本物を渡さない」対策なので、委託先で何が起きても顧客の情報は出ていきません。 形式を保って置き換えれば、桁数や項目の並びに依存するテストもそのまま行えます。

混同しやすいものとの違い

対策 委託先に見えるもの 守れること
データマスキング 形式だけ(値は別物) 漏れても本物の値は出ない
ファイル暗号化 復号後は全項目 受け渡しの途中
秘密保持契約 全項目 相手の義務(技術的には防げない)
読み取り専用のアクセス権 全項目 書き換え

相手が何を必要としているかを先に確かめ、要らない中身はマスキングで消してから渡す、 という順番で考えると選びやすくなります。

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