正解:ア
各選択肢の解説
ア検出なしは感染していない根拠にならないため、標準ツールの実行記録や通信を調べる。
正解。ファイルレスマルウェアは、照合の対象になる不正なファイルを残さず、 OS標準のツールを使ってメモリ上で動きます。スキャンの結果ではなく、 ツールが何を実行したか、どこと通信したかという動きの記録が手掛かりになります。
イ定義ファイルで検出されなかったので、感染はなかったものとして業務に戻す。
誤り。定義ファイルによる検査は、ファイルに含まれる既知の特徴と照合する方法です。 照合する不正なファイルがなければ、感染していても検出されません。 不審な通信という兆候が残ったまま、検出なしだけで判断を終えています。
ウ定義ファイルを最新にして再度スキャンし、検出されなければ感染なしと判断する。
誤り。定義ファイルを新しくすると、新しく見つかった既知のマルウェアは検出できるように なります。しかし、ファイルを調べるという方法そのものは変わらないので、 ファイルを残さない手口に対しては、何度スキャンしても結論の根拠になりません。
エディスク内から不審な実行ファイルを探し出して削除すれば、対応は完了とする。
誤り。これはファイルを置くタイプのマルウェアへの対応です。ファイルレスマルウェアは 実行ファイルをディスクに置かないので、探しても見つからないか、見つけたものを消しても 本体が残っているおそれがあります。
理解を深めるために
持ち物検査では見つからない侵入者
空港の手荷物検査は、かばんの中身を調べます。何も持たずに入り込み、建物の中にある 備品を使って悪さをする人は、手荷物検査では見つかりません。 ファイルレスマルウェアはこれに近く、不正な実行ファイルを持ち込まず、 OSに最初から入っている管理用のツール(PowerShell など)を使ってメモリ上で動きます。
なぜ「検出なし」で終えてはいけないのか
- 定義ファイルによる検査は、ファイルの中身を既知の特徴と照合する
- ファイルレスマルウェアには、照合の対象になる不正なファイルがない
- 使われるのは正規のツールなので、ファイルとして調べても異常に見えにくい
つまり、スキャンの結果が「検出なし」でも、この手口に対しては感染していないことの 証明になりません。今回は不審な外部通信という兆候が先にあるので、そちらを手掛かりにします。 標準ツールがいつ、どのような命令を実行したかの記録や、通信先の記録を確認し、 必要に応じて端末上の動きを記録・監視する仕組み(EDR など)で調べます。
混同しやすい判断との違い
| 判断 | 前提にしているもの |
|---|---|
| 動きの記録を調べる | ファイルではなく、ツールの実行や通信に痕跡が残る |
| 検出なしで業務に戻す | 照合で見つからなければ感染していない |
| 定義ファイルを更新して再スキャン | 新しい特徴を足せば見つかる |
| 不審な実行ファイルを削除 | 本体はディスク上のファイルである |
誤った3つは、どれも「マルウェアはファイルとして存在する」という前提に立っています。 ファイルレスマルウェアでは、その前提が崩れることを押さえておきます。