正解:ア
各選択肢の解説
ア本番での削除操作は別の担当者の確認を必須にし、接続先を画面で区別させる。
正解。原因は悪意のない操作の誤り(エラー)です。人は取り違えるという前提で、 本番だと気づける表示と、実行の前に別の人が止められる手順を組み込みます。
イ運用担当者の管理者パスワードを長くし、多要素認証を追加する。
誤り。これは認証を破られて入られる不正アクセスへの対策です。本番サーバへの 削除なので攻撃を疑いがちですが、操作したのは正規の担当者本人で、 認証を強くしても本人の取り違えは防げません。
ウ運用担当者に誓約書を出させ、違反時の懲戒処分を周知する。
誤り。これは故意に壊す・持ち出すといった内部不正を思いとどまらせる対策です。 権限を持つ社員の操作である点は内部不正と同じですが、今回は悪意がなく、 罰を示しても注意の取り違えは減りません。
エ本番サーバのディスクを冗長化し、故障に備えた予備を用意する。
誤り。これは機器の故障への対策です。データが失われた点は故障と同じですが、 冗長化したディスクは削除の操作もそのまま反映するので、誤って消したデータは 予備の側からも消えます。
理解を深めるために
同じ「データが消えた」でも原因で対策が変わる
データが消えたという結果は同じでも、原因が攻撃者の侵入なのか、社員の故意なのか、 社員の操作の誤りなのか、機器の故障なのかで、効く対策はまったく違います。 再発防止策は、結果ではなく原因に向けて選びます。
エラーには「間違える前提」の仕組みで備える
この事案の原因は、正規の担当者が悪意なく操作を誤ったこと、つまりエラーです。 エラーは注意を呼びかけるだけでは減りません。人は疲れや思い込みで必ず取り違えるので、 次のように、間違いに気づける機会と止められる手段を作業の中に入れます。
- 本番環境に接続したときだけ画面の色や表示を変え、検証環境と見分けやすくする
- 削除のような戻せない操作は、実行前に別の担当者の確認を必須にする
- 本番環境の削除権限を持つ人を必要最小限に絞る
あわせて、削除されても戻せるよう、本番とは別の場所にバックアップを取っておくことも 欠かせません。ディスクの冗長化は機器が壊れたときの備えで、削除の操作は両方の ディスクに同じように反映されます。
混同しやすいものとの違い
| 原因 | 意図の有無 | 効く対策 |
|---|---|---|
| エラー(操作の誤り) | なし | 確認の手順、取り違えにくい表示 |
| 不正アクセス | あり(外部) | 認証の強化 |
| 内部不正 | あり(内部) | 抑止・監視、権限の絞り込み |
| 故障 | なし(機器) | 冗長化、予備の機器 |
問題文の「悪意はない」「不審なログインはない」「正規の担当者」という手掛かりから、 原因を絞り込んでから対策を選びます。