正解:ウ
各選択肢の解説
ア認証を突破して、権限のないシステムに入り込む不正アクセスがあった。
誤り。不正アクセスは、他人のIDとパスワードを使ったり弱点を突いたりして、 認証の壁を越えて入り込む行為です。第三者に見られたので侵入と思いがちですが、 今回は越えるべき認証そのものが求められておらず、侵入の形跡もありません。
イ正規の権限を持つ者が、その権限を目的外に使う内部不正があった。
誤り。内部不正は、権限を持つ者が意図して情報を持ち出したり悪用したりする 行為です。設定したのが社内のメンバーなので内部の問題には違いありませんが、 本人に悪意はなく、取引先と共有するという正当な目的で操作しています。
ウ閲覧を許す範囲を本来の相手より広くした、アクセス権の誤設定があった。
正解。見せるべき相手は取引先だけなのに、共有範囲を「リンクを知っている全員」に したことで、誰でも閲覧できる状態になっていました。攻撃がなくても、 設定一つで情報は外に出ます。
エ通信経路上を流れるデータを、第三者がひそかに読み取る盗聴があった。
誤り。盗聴は、送受信の途中のデータを経路上で読み取る行為です。第三者に 内容を知られた点は同じですが、今回の第三者は経路に割り込んだのではなく、 公開された状態のファイルを正面から開いただけです。
理解を深めるために
鍵を壊されたのではなく、最初から開いていた
玄関の鍵を壊して入られるのと、鍵をかけ忘れた家に入られるのとでは、 同じ「家に入られた」でも原因がまったく違います。今回の事案は後者です。 誰かが壁を越えたのではなく、見せる範囲の設定が広すぎたために、 越える必要のない状態になっていました。
なぜ攻撃がなくても情報が漏れるのか
情報が外に出る原因は、攻撃者の侵入だけではありません。
- クラウドストレージの共有リンクは、範囲を「リンクを知っている全員」にすると、 リンクさえ手に入れば認証なしで開ける
- リンクはメールの転送やチャットへの貼り付けで、意図しない相手にも広がる
- 公開設定の誤りは、作業した本人にとっては普段の操作なので気づきにくい
対策も攻撃への対策とは向きが違います。共有範囲を特定の相手に限る、 共有したファイルを定期的に棚卸しする、公開リンクの作成を管理者が制限する、 といった設定と運用の見直しが中心です。
混同しやすいものとの違い
| 脅威 | 情報が見られた経路 | 悪意 |
|---|---|---|
| アクセス権の誤設定 | 最初から公開された状態を開いた | なし(設定の誤り) |
| 不正アクセス | 認証を突破して入り込んだ | 攻撃者にある |
| 内部不正 | 正規の権限を目的外に使った | 権限を持つ本人にある |
| 盗聴 | 通信の途中で読み取った | 攻撃者にある |
「第三者に見られた」という結果だけでは原因は決まりません。 認証を越えたか、誰に悪意があったかを順に確かめると、取るべき対策が見えてきます。