正解:イ
各選択肢の解説
ア情報システムの管理や運用が適切かどうかを、独立した立場の者が点検し評価する。
誤り。これはシステム監査の目的です。どちらも組織全体のシステムを見渡しますが、 システム監査は今の管理が適切かを第三者が評価して助言するもので、 EAのように組織の業務とシステムの全体像を描いて改善の設計図にするものではありません。
イ組織全体の業務とシステムを共通の枠組みで描き、全体最適の観点から改善を進める。
正解。EAは、業務・データ・アプリケーション・技術を同じ枠組みで描き、組織全体を見渡して 重複や無駄をなくすための手法です。F社のような部門ごとの部分最適を正すのに使います。
ウ提供するITサービスの品質を利用者と数値で取り決め、その水準を継続して維持する。
誤り。これはSLA(サービスレベル合意書)を軸にしたITサービスマネジメントの目的です。 こちらは個々のサービスの質を運用の中で保つ活動であり、組織全体の業務とシステムの 構造を描き直すEAとは、対象の広さも目的も違います。
エ個別の開発案件ごとに進捗と費用を管理し、期限と予算の範囲内で完了させる。
誤り。これはプロジェクトマネジメントの目的です。対象は一つの案件で、期間が終われば 役目を終えます。EAは案件をまたいで組織全体の構造を扱うもので、 個々のプロジェクトをどう進めるかを管理する手法ではありません。
理解を深めるために
EAは組織の「都市計画図」
部門ごとにシステムを作ると、家を好き勝手に建て増しした街のようになります。 道は行き止まりだらけで、同じ役割の建物があちこちに建ちます。EAは、街全体の地図を 同じ記号で描き、どこを整理すればよいかを見えるようにする都市計画図にあたります。
なぜEAが必要なのか
部門ごとの最適化を積み重ねると、F社のように同じ顧客情報が複数のシステムに散らばり、 更新の漏れや二重投資が起こります。EAでは組織全体を次の四つの体系で描きます。
- 業務(ビジネス) — どんな業務を、どの順で行っているか
- データ — 業務でどんな情報を扱っているか
- アプリケーション — どのシステムがどの業務を支えているか
- 技術 — それを動かす機器やネットワーク
まず現状をAs-isモデルとして描き、目指す姿をTo-beモデルとして描いて、 その差を埋める計画を立てます。全体を同じ枠組みで見るからこそ、重複に気付けるのが要点です。
混同しやすいものとの違い
| 考え方 | 目的 | 対象 |
|---|---|---|
| EA | 業務とシステムの全体最適化 | 組織全体 |
| システム監査 | 管理・運用が適切かの第三者評価 | 監査対象のシステムと管理体制 |
| ITサービスマネジメント | 合意したサービス品質の維持 | 提供中のITサービス |
| プロジェクトマネジメント | 期限と予算内での完了 | 個別の案件 |
試験では「組織全体」「全体最適」「業務とシステムを体系的に」とあればEAです。