正解:ウ
各選択肢の解説
ア失敗した結果は事業に使えないため、有用性を欠き営業秘密に当たらない。
誤り。有用性は「今の製品に使われているか」ではなく、事業に役立つ価値があるかで 判断します。失敗の記録も、同じ試行を繰り返さずに済む価値があるため、 有用性は認められます。「成功した技術だけが財産」というのはよくある誤解です。
イ特許の登録を受けていない情報なので、営業秘密としては保護されない。
誤り。これは特許法と混同しています。特許は出願して内容を公開する代わりに 権利を得る制度で、営業秘密は逆に公開せず秘密のまま守る仕組みです。 出願や登録は営業秘密の条件ではありません。
ウ他社が同じ失敗を避けて開発費を省ける価値があり、営業秘密に当たり得る。
正解。失敗した実験データのような「うまくいかない」という情報にも有用性が 認められます。この場面では秘密管理性と非公知性も満たしているため、 営業秘密として保護され得ます。
エ社外秘と表示して管理していれば、内容が公開済みでも営業秘密に当たる。
誤り。これは非公知性を見落としています。論文や業界誌などで既に公開された情報は、 いくら社内で厳重に管理しても営業秘密になりません。管理の仕方(秘密管理性)と 世の中に知られていないこと(非公知性)は別の要件です。
理解を深めるために
失敗の記録も会社の財産
新しい薬品を開発するとき、「この配合では効かない」と分かっているだけで、 試作の回数も費用も大きく減らせます。競合他社がそのデータを手に入れれば、 自分では一度も失敗せずに近道ができてしまいます。 だから失敗のデータも、成功した技術と同じように守る価値があります。
営業秘密の3要件
不正競争防止法で営業秘密として保護されるには、次の3つをすべて満たす必要があります。
- 秘密管理性:秘密として管理され、社員にもそれが分かる状態になっている
- 有用性:事業活動に役立つ技術上・営業上の情報である
- 非公知性:一般には入手できない状態にある
経済産業省の「営業秘密管理指針」は、過去に失敗した研究データや製品の欠陥情報といった、 いわゆるネガティブ・インフォメーションにも有用性が認められるとしています。 現に事業で使っているかどうかは問われません。一方、脱税や有害物質の垂れ流しのような 公序良俗に反する情報は、有用性が認められません。
混同しやすいものとの違い
| 考え方 | 実際 |
|---|---|
| 失敗データにも有用性がある | 開発費や時間を省ける価値があるため認められる |
| 失敗データは役に立たない | 誤解。現に使っているかどうかは問われない |
| 特許登録が必要 | 特許は公開して守る制度。営業秘密は公開せずに守る |
| 管理していれば公開済みでもよい | 非公知性を欠くため営業秘密にならない |
試験では、3要件のうちどれが問題になっているかを場面から読み取らせる形が定番です。 「管理の仕方」「役に立つか」「世の中に知られていないか」の3つの視点で順に確かめましょう。