問題 12★★★

飲食店向けの注文入力アプリについて、店員に尋ねると「特に不便はない」という 答えが多いのに、実際には紙の伝票の併用が続いている。理由をつかむために フィールドワークとして行うこととして、最も適切なものはどれか。

正解:ア

各選択肢の解説

  1. ア営業中の店舗に出向き、店員が紙とアプリをどう使い分けているかをその場で見る。

    正解。フィールドワークは、利用者が実際に使っている現場へ出向いて観察する 方法です。手がふさがる、注文が重なる、端末を置く場所がないといった その場の事情は、本人が不便と自覚していなくても見れば分かります。

  2. イ想定する店員像を一人の人物として描き、アプリを使う一日の流れを書き出す。

    誤り。ペルソナを立てて利用場面を想像する進め方です。調査で得た事実を チームで共有する道具としては有効ですが、描くのは作り手の側であり、 現場で何が起きているかという新しい事実が入ってくるわけではありません。

  3. ウアプリの利用ログを集計し、注文入力に掛かった時間を店舗ごとに比較する。

    誤り。数字の上で差がある店舗は見つけられますが、その店舗で何が起きて いるかまでは記録に残りません。ログで分かるのはアプリの中の出来事だけで、 紙の伝票を使っている場面はそもそも記録されません。

  4. エ開発担当者が事務所でアプリを一通り操作し、分かりにくい画面を洗い出す。

    誤り。作り手による机上の点検です。落ち着いた環境で操作しても、 混雑した厨房で濡れた手を拭きながら入力する状況は再現できません。 現場の制約こそが紙の併用の理由である可能性を、この方法では拾えません。

理解を深めるために

「特に不便はない」と言う人が、紙を使い続ける

人は、毎日こなしている作業の不便さを言葉にできません。 面倒な手順も繰り返すうちに体になじみ、「そういうものだ」と思ってしまうからです。 だから聞き取りでは「特に不便はない」という答えが返ってきます。

ところが現場に立つと、注文を取りながら片手で端末を持ち、 入力しきれない分を紙に書き留めている姿が見えます。 聞いても出てこないものが、見ると分かる。 これがフィールドワークの値打ちです。

現場でなければ分からないこと

  • 本人が意識していない癖や手順(紙に書いてから後でまとめて入力する)
  • その場の環境の制約(手が濡れている、騒がしい、置き場所がない、電波が届かない)
  • 前後の作業とのつながり(配膳の合間にしか入力できない)
  • 周りの人とのやり取り(口頭で伝えて他の店員が入力する)

観察に加え、その場で「今なぜ紙に書いたのですか」と短く尋ねることもあります。 行動を見た直後なので、本人も理由を思い出しやすくなります。

誰が、どこで、何を見るか

方法 分かること
フィールドワーク 現場での実際の行動と、その場の環境の制約
利用ログの分析 アプリの中で起きた操作の記録。アプリの外は残らない
作り手による机上の点検 画面そのものの分かりにくさ。現場の状況は再現できない

試験では「現場へ出向く」「使っている様子を観察する」が手掛かりです。 利用者本人の申告や、作り手の側で描いたものしか材料にしていない選択肢は、 フィールドワークには当たりません。

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