正解:ア
各選択肢の解説
アいったん通話を終え、前から登録してある取引先の連絡先に自分からかけ直して確認する。
正解。ディープフェイクは映像と音声そのものを作り替えるので、その通話の中で いくら確かめても本物だとは判断できません。相手が指定してきた経路ではなく、 自分が以前から把握している連絡先を使って確かめるのが原則です。
イ顔と声が普段のやり取りで見知った担当者と一致していることを確かめ、振り込む。
誤り。見た目と声の一致を本人確認の根拠にしています。まさにその見た目と声を 作り替える技術がディープフェイクなので、本物に見えることは本人である証拠に なりません。人の目と耳では見分けられない前提で考える必要があります。
ウ通話の映像と音声を録画して証拠として保存したうえで、指示のとおり振り込む。
誤り。記録を残すこと自体は被害後の調査で役に立ちますが、振り込む前の本人確認には なっていません。送金してしまうと資金を取り戻すのは難しく、証拠があっても被害の 回復にはつながりにくいのが実情です。
エ通話中に本人しか知らないはずの内容を尋ね、正しく答えられたら振り込む。
誤り。同じ通話の中で確かめている点に弱さがあります。相手が事前に社内の情報を 盗み見ていれば答えられますし、偽物かどうかを偽物自身に尋ねていることになります。 確認は、疑わしい経路の外に出て行うものです。
理解を深めるために
「本人に見える」は、本人確認にならない
ディープフェイクは、AIで顔・表情・声を合成し、本人が話しているとしか見えない 映像や音声を作る技術です。かつては写真や録音が本人確認の材料になりましたが、 見えることと聞こえることが作れてしまう以上、それらは証拠になりません。 ビデオ通話の相手が本物に見えたという事実は、判断の根拠から外す必要があります。
確認は、疑わしい経路の外で行う
偽装されているのは通話そのものです。ですから、その通話の中で何を尋ねても 確認にはなりません。取るべき手は次のようなものです。
- 相手が伝えてきた番号ではなく、契約書や自社の台帳にある連絡先へ自分からかけ直す
- 振込先の変更は、一度の連絡では受け付けず、複数人の承認を必要とする手順にしておく
- 「至急」「今すぐ」と急がせる指示ほど、いったん立ち止まって手順どおり確かめる
急がせることで確認の手順を飛ばさせるのは、この種の詐欺に共通する型です。
混同しやすいものとの違い
| 確かめ方 | 有効かどうか |
|---|---|
| 別の経路で本人に連絡する | 有効。偽装された経路の外で確かめられる |
| 顔と声の一致を見る | 無効。まさにそこを作り替える技術 |
| 通話を録画して残す | 事後の調査には役立つが、防止にはならない |
| 通話中に秘密の質問をする | 同じ経路の中なので確認にならない |
試験では、映像や音声が本物に見える場面が出てきたら、 「別の手段で確かめる」を選ぶのが基本です。