問題 30★★☆

文具メーカーの広報担当者が、生成AIに指示して販促用のキャラクターの図柄を作らせた ところ、世の中で広く知られている既存のキャラクターとよく似た図柄が出力された。 これをそのまま広告に使った場合に生じるリスクとして、最も適切なものはどれか。

正解:ウ

各選択肢の解説

  1. アハルシネーション

    誤り。AIが事実でない内容をもっともらしく作り出す現象です。AIが勝手に作り出す という点は今回と同じですが、問題になるのは出てきた内容が事実かどうかであり、 他人の権利に触れるかどうかとは論点が違います。

  2. イ古い出力情報

    誤り。学習した時点より後の変化が反映されず、変わる前の内容のまま答えてしまう リスクです。学習したデータに引きずられる点は共通しますが、こちらは情報が新しいか 古いかの問題で、図柄が誰かの権利を侵すかどうかとは別です。

  3. ウ倫理・法的リスク

    正解。生成物が既存の著作物と似ていて、かつそれをもとに作られたと認められる場合、 著作権侵害になりえます。AIが作ったことは免責の理由にならず、広告として世に出した 企業が責任を問われます。権利侵害は代表的な法的リスクです。

  4. エセキュリティ・プライバシーへの懸念

    誤り。入力した機密情報や個人情報が事業者側に残り、社外に出るおそれのことです。 今回入力したのは自社の指示文で、問題は出力された図柄を公開する点にあります。 入力側のリスクか出力側のリスクかで切り分けます。

理解を深めるために

AIが作っても、責任は世に出した側にある

生成AIが作った文章や画像を公開する場面では、「AIが勝手に作ったものだから」は 通用しません。著作権侵害になるかどうかは、人が描いた場合と同じ基準で判断され、 AIを使ったかどうかは判断の分かれ目になりません。文化庁の文化審議会著作権分科会 法制度小委員会「AIと著作権に関する考え方について」も、生成・利用の段階には 通常の著作権法がそのまま当てはまる、という整理を示しています。

判断の軸は次の二つです。

  • 類似性: 既存の著作物と、表現の部分が似ているか
  • 依拠性: その著作物をもとにして作られたといえるか

利用者がその作品を知らなかった場合でも、使った生成AIがその作品を学習していた ときには依拠性が認められうる、と考えられています。「知らなかった」では 済まないことがある、という点が実務では重要です。

倫理・法的リスクに含まれるもの

  • 著作権や商標権など、他人の権利の侵害
  • 事実でない内容を公表したことによる名誉の毀損や信用の失墜
  • AIに任せた判断で損害が出たときの、責任の所在のあいまいさ

公開前に人が見て、似すぎていないか、権利関係に問題がないかを確かめる手順を 決めておくことが対策になります。

混同しやすいものとの違い

リスク どこで問題になるか
倫理・法的リスク 出てきたものを世に出す段階
ハルシネーション 出力の内容が事実かどうか
古い出力情報 出力の内容が最新かどうか
セキュリティ・プライバシーへの懸念 入力した情報が社外に残ること

試験では、権利侵害・責任・公平性など「守るべきルールに触れる話」が出てきたら 倫理・法的リスクを選びます。

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