問題 13★★★

A社では、社内ネットワークに接続していれば業務システムを使えるようにしてきた。 テレワークとクラウドサービスの利用が広がったことを受け、ゼロトラストの考え方で 仕組みを見直すことにした。この方針に沿う対策として、最も適切なものはどれか。

正解:エ

各選択肢の解説

  1. ア社内ネットワークに接続した端末は信頼済みとして扱い、業務システムの認証を省く。

    誤り。これは見直す前のA社のやり方そのものです。接続した場所を信頼の根拠に している点が問題で、社内の端末がマルウェアに感染すれば、 そのまま業務システムまで到達できてしまいます。

  2. イ社内と社外の境界に機器を置き、外部から入ってくる通信だけを検査して防ぐ。

    誤り。これは境界型防御の考え方です。守る対象が社内に閉じていた時代には 有効でしたが、利用者も情報も社外に出た今は、境界を通らない クラウドへの直接接続を守れません。

  3. ウ業務で扱う情報をすべて社内のサーバに集約し、クラウドサービスの利用をやめる。

    誤り。境界の内側に情報を戻して守ろうとする発想で、向きが逆です。 ゼロトラストは、社外のサービスを使うことを前提に、 信頼の置き方のほうを変える考え方です。

  4. エ社内と社外のどちらからの接続でも、そのつど利用者と端末を確認してから許可する。

    正解。どこから接続したかを信頼の根拠にせず、アクセスのたびに 本人と端末の状態を検証します。社内にいるという事実だけでは 通さない点が、ゼロトラストの核心です。

理解を深めるために

「社内だから安全」という前提を捨てる

従来のセキュリティは、城と堀にたとえられます。 堀の内側(社内ネットワーク)は安全な場所とみなし、 外から入ってくる通信だけを門で検査する。これが境界型防御です。

ところが、働く人は自宅や外出先から接続するようになり、 業務データはクラウドサービスの上に置かれるようになりました。 守りたい人も情報も、堀の外に出てしまったわけです。

しかも、堀の内側は一度入られると危険です。 社内の1台がマルウェアに感染すると、そこから他のサーバへ次々に入られてしまいます。

ゼロトラストで何が変わるか

「何も信頼しない(zero trust)」とは、誰も使わせないという意味ではありません。 接続元の場所を信頼の根拠にしないという意味です。

  • 社内からの接続でも、社外からの接続でも、同じように検証する
  • アクセスのたびに、利用者の本人確認と端末の状態(OSの更新、ウイルス対策)を確認する
  • 与える権限は業務に必要な最小限にとどめる
  • 通信やアクセスの記録を継続的に監視し、いつもと違う動きを見つける

混同しやすい考え方との違い

考え方 信頼の置き方
ゼロトラスト 場所を信頼せず、アクセスのつど検証する
境界型防御 内側は信頼し、境界で外からの通信を検査する
多要素認証 本人確認を強くする手段。ゼロトラストを支える部品の一つ

試験では、テレワークやクラウド利用の場面を置いて対策を選ばせる形で問われます。 「社内にいるかどうかで扱いを変えているか」が見分けどころです。

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