問題 35★★★

D社は顧客情報の漏えいを防ぐため、閲覧できる担当者を限定し、閲覧のつど上長の承認を 必要とした。その結果、窓口の担当者が問合せ中に顧客情報をすぐ確認できず、 対応が滞るようになった。この状況の説明として最も適切なものはどれか。

正解:ア

各選択肢の解説

  1. ア機密性を高めた結果、可用性が損なわれた。

    正解。見られる人と場面を絞るのは機密性の対策です。その分、正当な担当者が 必要なときにすぐ使えない状態になり、可用性が下がりました。

  2. イ完全性を高めた結果、可用性が損なわれた。

    誤り。完全性は、情報が正確で改ざんされていないことです。D社が絞ったのは 「誰が見られるか」で、書き換えを防ぐ対策ではありません。承認の手続が 増えると改ざん防止にも見えますが、対象は閲覧なので機密性の対策です。

  3. ウ機密性を高めた結果、完全性が損なわれた。

    誤り。前半は合っていますが、顧客情報の中身が誤ったり書き換えられたりした わけではありません。困っているのは「すぐ確認できない」ことで、 これは使いたいときに使えるかどうか、つまり可用性の問題です。

  4. エ可用性を高めた結果、機密性が損なわれた。

    誤り。向きが逆です。閲覧者を限定し承認を挟んだのは、使いやすさを上げる 変更ではなく制限を強める変更です。誰でもすぐ見られるようにした結果 漏えいが起きた、という場面ならこの説明が当てはまります。

理解を深めるために

金庫にしまうほど、取り出すのに手間がかかる

大事な書類を金庫に入れ、鍵を上司だけが持つようにすれば、盗み見される心配は減ります。 その代わり、急ぎで書類が必要になっても上司が捕まらなければ取り出せません。

情報セキュリティの三要素にも、これと同じ関係があります。 機密性を高める対策は、可用性を下げる方向に働きやすいのです。

三要素は「どれか一つを最大に」ではない

  • 機密性:許可された人だけが情報にアクセスできること
  • 完全性:情報が正確で、改ざんや欠落がないこと
  • 可用性:許可された人が、必要なときに情報を使えること

D社の対策(閲覧者の限定、閲覧ごとの承認)は機密性を高めます。 一方で窓口の担当者は、正当な利用者なのに必要な場面ですぐ使えなくなりました。 これが可用性の低下です。

どちらかを捨てるのではなく、業務に必要な範囲を見極めて釣り合いを取ります。 たとえば窓口担当者には閲覧だけを常時許可し、出力や一括ダウンロードにだけ 承認を求める、といった調整が考えられます。

選択肢の組合せの見分け方

高めた要素 損なわれた要素 判定
機密性(閲覧の制限) 可用性(すぐ使えない) 正しい
完全性(改ざん防止) 可用性 対策の対象が閲覧なので違う
機密性 完全性(中身の正しさ) 中身は壊れていない
可用性 機密性 変更の向きが逆

「何を制限したか」で高めた要素を、「何に困ったか」で損なわれた要素を決めると、 組合せを取り違えません。

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