正解:イ
各選択肢の解説
ア攻撃元となったサーバを特定して停止させ、攻撃した者を処罰する。
誤り。攻撃者の捜査や処罰は警察など捜査機関の役割で、IPAにその権限はありません。 J-CRATは相談してきた組織の側に立ち、被害を抑えるための技術的な支援をします。 攻撃者に働きかける組織ではない、と押さえておきます。
イ相談や情報提供を受けて調査・分析し、助言や支援で被害を抑える。
正解。標的型サイバー攻撃特別相談窓口で相談を受け付け、内容を分析して助言を 行い、影響が大きいと判断される場合は踏み込んだ支援を行います。相談した組織の 被害の低減と、攻撃の連鎖を断つことが目的です。
ウ被害を受けた組織に、復旧に要した費用を補償金として支払う。
誤り。金銭で損害を埋めるのは、民間の保険会社が提供するサイバー保険の役割です。 J-CRATが提供するのは調査・分析と助言であって、費用の補償ではありません。 支援の中身が「お金」か「技術」かで見分けられます。
エ対策の実施状況を審査し、基準を満たした組織に認証を与える。
誤り。審査して認証を与えるのは、ISMS適合性評価制度のような認証制度です。 これは平時の取組みを評価する仕組みで、起きてしまった事案への対処を支援する J-CRATとは目的が異なります。平時か、有事かが分かれ目です。
理解を深めるために
攻撃を受けた組織に駆けつける「レスキュー隊」
J-CRAT(ジェイ・クラート)は、IPA(独立行政法人情報処理推進機構)が運営する サイバーレスキュー隊です。名前のとおり救助が仕事で、標的型サイバー攻撃を受けた 疑いのある組織から相談を受け、被害の低減と攻撃の連鎖の遮断を支援します。
なぜ「連鎖」なのか
標的型サイバー攻撃は、本命の組織をいきなり狙わず、取引先や関連団体を踏み台にして 近づくことがあります。そのため、1件の相談が次に狙われる組織を守る手がかりになります。
- 標的型サイバー攻撃特別相談窓口で、広く相談や情報提供を受け付ける
- 提供された情報を分析し、調査結果に基づいて助言する
- 影響が大きいと判断される場合は、レスキュー活動として踏み込んだ支援を行う
企業側から見れば、社内だけで抱え込まずに相談できる公的な窓口という位置づけです。
混同しやすいものとの違い
| 組織・仕組み | 役割 |
|---|---|
| サイバーレスキュー隊(J-CRAT) | IPAが標的型攻撃の相談を受け、被害低減を支援する |
| CSIRT | 組織が自ら置く、インシデント対応の窓口となる社内組織 |
| 警察(サイバー犯罪相談窓口) | 犯罪としての捜査を行う |
| サイバー保険 | 被害による損害を金銭で補償する |
試験では「IPA」「標的型サイバー攻撃」「支援」の3語がそろえばJ-CRATです。社外の支援機関 である点が、社内に置くCSIRTやSOCとの分かれ目になります。