正解:ア
各選択肢の解説
ア損害の金銭的な負担は一部移せるが、委託先の監督や顧客への対応の責任は自社に残る。
正解。リスク移転で移せるのは、主に損害の負担です。委託した業務で漏えいが 起きても、委託先を監督し、顧客や関係機関に対応する責任は委託元に残ります。
イ運用を委託した以上、漏えいが起きたときの責任も委託先に移り、自社の対応は不要になる。
誤り。移転を「責任ごと手放すこと」と考える典型的な誤解です。 委託先を選び、監督するのは委託元の役目で、個人情報を預かっている事業者としての 説明責任も自社に残ります。
ウ保険に加入したことで、情報漏えいが起きる可能性そのものが低くなる。
誤り。発生可能性を下げるのは、暗号化やアクセス制御などのリスク低減です。 保険は起きたあとの損害の穴埋めであって、漏えいの起こりやすさは まったく変わりません。
エ委託と保険によってこのリスクは自社から消えるので、リスク回避に分類される。
誤り。リスク回避は、会員情報を持つ業務そのものをやめる対応です。 この企業は会員情報を扱う業務を続けており、リスクは消えていません。 委託と保険はリスク共有(リスク移転)に分類されます。
理解を深めるために
移せるのは「財布の痛み」まで
自動車保険に入っていても、事故を起こした運転者として現場で対応し、相手に謝罪するのは 自分です。保険会社が肩代わりしてくれるのは、主にお金の負担です。 リスク移転もこれと同じで、損害の負担の一部を他者に移すことはできても、 リスクを抱える当事者でなくなるわけではありません。
なぜ責任は残るのか
- 委託元には監督の役目がある:業務を任せる相手を選び、きちんと管理されているかを 確かめるのは委託元です。個人情報保護法でも、個人情報の取扱いを委託した事業者には 委託先を監督する義務があります
- 顧客から見た相手は委託元:会員が情報を預けたのはこの企業です。漏えいが起きれば、 顧客への説明や再発防止の説明を求められるのは委託元です
- 信用の損失は保険で戻らない:保険金で費用は補えても、失った信頼は補償されません
混同しやすいものとの違い
| 対応 | 何が変わるか |
|---|---|
| リスク共有(リスク移転) | 損害の負担の一部が他者に移る。責任は残る |
| リスク低減 | 発生可能性や影響が小さくなる |
| リスク回避 | 活動をやめるので、リスクそのものがなくなる |
試験では「委託すれば責任も移る」「保険で発生を防げる」という選択肢がよく置かれます。 移転は起きたあとの負担を分け合う手段だ、と押さえておけば見抜けます。