正解:エ
各選択肢の解説
ア不確実性のマネジメント
誤り。これは結果が読めない取組みを小さく試し、学びを重ねながらリスクを 機会に変えていく原則です。どちらも変化に向き合うため混同しがちですが、 こちらは試行の進め方の話で、環境の変化に合わせて体制や手順を作り替える対応とは別です。
イ組織文化
誤り。これは変化を受け入れ、挑戦や協働を支える価値観と行動を共有する原則です。 変化に前向きな風土は見直しの土台になりますが、B社が行ったのは価値観づくりではなく、 体制や手順といった仕組みそのものの見直しです。
ウ戦略的方向性
誤り。これはイノベーション活動の目標を組織の戦略とそろえて共有し、目指す水準を 定める原則です。「どこを目指すか」を決める話であり、外部の変化を受けて 体制・手順・スキル・稼ぎ方を作り替えるという、B社の対応の中身とは焦点が違います。
エ柔軟性
正解。組織を取り巻く状況が変わったとき、体制、プロセス、能力、価値を生み出す 仕組み(稼ぎ方)を時機を逃さず適応させる原則です。B社の見直しは、この4つに そのまま対応しています。
理解を深めるために
環境が変わったら、仕組みのほうを変える
川の流れが変われば、舟の進め方も変えなければなりません。昨日まで通用した体制や 審査の手順が、規制や市場が変わった翌日には足かせになることがあります。 柔軟性は、こうした状況の変化に対して、仕組みそのものを遅れずに合わせ直すことを 求める原則です。
何を合わせ直すのか
イノベーションマネジメントの国際規格(ISO 56000 シリーズ)では、柔軟性の対象として 次のようなものが挙げられています。
- 組織の体制
- 活動のプロセス(手順)
- 人の能力(スキル)
- 価値を生み出して回収する仕組み(収益の上げ方)
ポイントは「時機を逃さず」です。変化に気づいても、手順や体制を元のまま据え置けば、 良いアイデアがあっても価値にたどり着けません。B社は規制の変化という外部の出来事を きっかけに、この4つをまとめて見直しています。
混同しやすいものとの違い
| 原則 | 何に向き合うか |
|---|---|
| 柔軟性 | 状況の変化に合わせ、体制・手順・能力・稼ぎ方を適応させる |
| 不確実性のマネジメント | 読めない結果を、試行と学習を重ねて引き受ける |
| 組織文化 | 変化や挑戦を受け入れる価値観と行動を共有する |
| 戦略的方向性 | 活動の目標を戦略とそろえ、目指す水準を定める |
変化への前向きさ(組織文化)や試し方(不確実性のマネジメント)と違い、 柔軟性は「仕組みを実際に作り替えたか」で見分けます。