問題 35★★★

B社の新規事業部門は、主要顧客の業界で規制が大きく変わったことを受け、 部門の体制、案件の審査手順、メンバーに求めるスキル、収益の上げ方を 時機を逃さず見直した。イノベーションマネジメントの原理原則のうち、 この対応に最もよく当てはまるものはどれか。

正解:エ

各選択肢の解説

  1. ア不確実性のマネジメント

    誤り。これは結果が読めない取組みを小さく試し、学びを重ねながらリスクを 機会に変えていく原則です。どちらも変化に向き合うため混同しがちですが、 こちらは試行の進め方の話で、環境の変化に合わせて体制や手順を作り替える対応とは別です。

  2. イ組織文化

    誤り。これは変化を受け入れ、挑戦や協働を支える価値観と行動を共有する原則です。 変化に前向きな風土は見直しの土台になりますが、B社が行ったのは価値観づくりではなく、 体制や手順といった仕組みそのものの見直しです。

  3. ウ戦略的方向性

    誤り。これはイノベーション活動の目標を組織の戦略とそろえて共有し、目指す水準を 定める原則です。「どこを目指すか」を決める話であり、外部の変化を受けて 体制・手順・スキル・稼ぎ方を作り替えるという、B社の対応の中身とは焦点が違います。

  4. エ柔軟性

    正解。組織を取り巻く状況が変わったとき、体制、プロセス、能力、価値を生み出す 仕組み(稼ぎ方)を時機を逃さず適応させる原則です。B社の見直しは、この4つに そのまま対応しています。

理解を深めるために

環境が変わったら、仕組みのほうを変える

川の流れが変われば、舟の進め方も変えなければなりません。昨日まで通用した体制や 審査の手順が、規制や市場が変わった翌日には足かせになることがあります。 柔軟性は、こうした状況の変化に対して、仕組みそのものを遅れずに合わせ直すことを 求める原則です。

何を合わせ直すのか

イノベーションマネジメントの国際規格(ISO 56000 シリーズ)では、柔軟性の対象として 次のようなものが挙げられています。

  • 組織の体制
  • 活動のプロセス(手順)
  • 人の能力(スキル)
  • 価値を生み出して回収する仕組み(収益の上げ方)

ポイントは「時機を逃さず」です。変化に気づいても、手順や体制を元のまま据え置けば、 良いアイデアがあっても価値にたどり着けません。B社は規制の変化という外部の出来事を きっかけに、この4つをまとめて見直しています。

混同しやすいものとの違い

原則 何に向き合うか
柔軟性 状況の変化に合わせ、体制・手順・能力・稼ぎ方を適応させる
不確実性のマネジメント 読めない結果を、試行と学習を重ねて引き受ける
組織文化 変化や挑戦を受け入れる価値観と行動を共有する
戦略的方向性 活動の目標を戦略とそろえ、目指す水準を定める

変化への前向きさ(組織文化)や試し方(不確実性のマネジメント)と違い、 柔軟性は「仕組みを実際に作り替えたか」で見分けます。

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