問題 36★★☆

イノベーションマネジメントの原理原則の一つである「未来志向リーダー」の説明として、 最も適切なものはどれか。

正解:ア

各選択肢の解説

  1. ア各階層のリーダーが好奇心と勇気をもって現状に挑み、共感を呼ぶビジョンを示して人を巻き込み続ける。

    正解。経営トップに限らず、あらゆる階層のリーダーが現状に疑問を持って挑み、 ビジョンと目的を示して周囲を動かし続けることを求める原則です。 担い手が「人」であり、その姿勢と働きかけを問う点が要点です。

  2. イイノベーション活動の目標を組織の戦略とそろえて共有し、目指す水準に見合った人員と予算を割り当てる。

    誤り。これは「戦略的方向性」の説明です。どちらも将来を見据えるため混同しやすいですが、 戦略的方向性は目標のそろえ方と資源の配分という「何を目指すか」の話で、 未来志向リーダーはそれを人に示して動かす「誰がどう率いるか」の話です。

  3. ウ変化を受け入れ挑戦や協働を支える価値観を共有し、創造性と着実な実行が両立する風土を育てる。

    誤り。これは「組織文化」の説明です。リーダーは風土づくりに深く関わるため 重なって見えますが、組織文化は組織全体で共有される価値観と行動そのものを指し、 個々のリーダーの姿勢や働きかけを指すものではありません。

  4. エ活動を互いに関係し合う要素から成る一つの仕組みとして運営し、成果を定期的に評価して改善する。

    誤り。これは「システムアプローチ」の説明です。個別の取組みを寄せ集めるのではなく、 要素のつながりを踏まえて全体を運営し、評価と改善を回すことを求めます。 人の率い方ではなく、マネジメントの組み立て方に関する原則です。

理解を深めるために

率いるのはトップだけではない

新しいことを始めようとすると、「前例がない」「今のやり方で困っていない」という声が 必ず出ます。そこで立ち止まらず、「こういう未来をつくりたい」と語って人を巻き込む人が いなければ、アイデアは会議室の中で終わります。未来志向リーダーは、 その役割を担う人の姿勢を示した原則です。

原則が求めていること

イノベーションマネジメントの国際規格(ISO 56000 シリーズ)では、おおむね次のように 説明されています。

  • リーダーは経営トップに限らず、あらゆる階層にいる
  • 好奇心と勇気を原動力に、現状(今のやり方)に挑む
  • 人を惹きつけるビジョンと目的を示し、人々を継続的に巻き込む

「リーダー=社長が一人で決めて指示する人」と捉えると外します。 現場の課長やチームリーダーも、この原則の担い手です。

混同しやすいものとの違い

原則 何についての原則か
未来志向リーダー 各階層のリーダーが現状に挑み、ビジョンを示して人を動かす
戦略的方向性 活動の目標を戦略とそろえ、目指す水準と資源を定める
組織文化 挑戦や協働を支える価値観と行動を組織で共有する
システムアプローチ 関係し合う要素を一つの仕組みとして運営し、評価・改善する

どれも将来に向けた取組みですが、主語が「人(リーダー)」なのか、 「目標」「価値観」「仕組み」なのかで見分けます。

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