正解:ウ
各選択肢の解説
ア既存のホテルよりも設備やサービスの品質を高め、同じ顧客に対して性能で上回ったから。
誤り。これは既存企業どうしが品質や性能を競う、従来型の競争の説明です。 ディスラプションを「より優れた製品で勝つこと」と捉えるのは典型的な誤解で、 B社は同じ土俵で上回ったのではなく、部屋を持つという前提そのものを外しています。
イ自社で多数のホテルを建設して部屋数を増やし、1室当たりの費用を下げて価格で勝ったから。
誤り。これは設備を大量に持つことでコストを下げる規模の経済の考え方で、 既存のホテルチェーンと同じ戦い方です。建設には多額の投資と時間がかかり、 短期間で業界を揺るがす理由にはなりません。
ウ部屋を自ら持たず、個人の空き部屋と利用者をネット上で結び付けるので、少ない投資で規模を広げられるから。
正解。部屋を建てる必要がないので、貸し手が登録するほど扱う部屋が増えます。 増やすための費用が小さく、貸し手と旅行者が互いを呼び込むため、急速に規模が広がります。
エ既存の大手ホテルチェーンと提携し、互いの予約システムを共同で開発して集客力を高めたから。
誤り。これは企業どうしが独立したまま協力するアライアンス(業務提携)の説明です。 集客力は上がりますが、既存の業界の枠組みの中での協力であり、 業界の前提を覆す動きではありません。
理解を深めるために
部屋を持たない宿泊サービス
ホテルが部屋数を増やすには、土地を探し、建物を建て、従業員を雇う必要があります。 何年もかかり、多額の投資が要ります。
B社は部屋を1室も持っていません。持っているのは、貸したい人と泊まりたい人を 結び付ける仕組みだけです。貸し手が登録すれば、その日から扱う部屋が1つ増えます。 ホテル業界の「部屋を持って貸す」という前提そのものを外したことが、 短期間で業界を揺るがせた理由です。
なぜ短期間で広がるのか
- 設備を自ら持たないので、事業を広げるための投資が小さい
- 貸し手が増えるほど選択肢が増えて旅行者が集まり、旅行者が集まるほど貸し手も増える(ネットワーク効果)
- インターネット上で仲介が完結するので、地域や国をまたいで広げやすい
総務省の情報通信白書でも、デジタルディスラプションの事例として、 宿泊の仲介サービスやタクシーの配車サービスが挙げられています。 既存企業にとって厄介なのは、部屋数を増やす、品質を磨くといった従来の打ち手では 追いつけない点です。
混同しやすいものとの違い
| 考え方 | どう勝とうとするか |
|---|---|
| デジタルディスラプション(仲介型の参入) | 資産を持たずにつなぎ、業界の前提を覆す |
| 品質・性能での競争 | 同じ土俵で既存企業を上回る |
| 規模の経済 | 設備を多く持ち、1単位当たりの費用を下げる |
| アライアンス(業務提携) | 独立したまま他社と協力して力を補う |
試験では、新しい企業が「既存企業と同じ土俵で勝ったのか」「土俵そのものを変えたのか」を 見分けます。後者がディスラプションです。