問題 23★★★

情報セキュリティ担当者が、ドメイン名に関する不正競争防止法の規定を社内研修で説明するため、事例を整理している。 次のうち、不正競争防止法のドメイン名の不正取得等の行為に当たるものとして最も適切なものはどれか。

正解:ウ

各選択肢の解説

  1. ア自社の商標に似た文字列のドメイン名を、なりすまし対策として自社でまとめて取得し保有する。

    誤り。規定の対象は「他人の」商品等表示と同一・類似のドメイン名です。自社の商標に似たドメイン名を 防衛のために押さえる行為は、他人の表示を利用するものではなく、不正な目的もありません。

  2. イ商号が偶然に他社の商標と同じ会社が、他社の評判を利用せず、その商号のドメイン名で事業を行う。

    誤り。他社の商標と同じ文字列でも、自社の商号を正当に使うだけで、不正の利益を得る目的も 損害を加える目的もありません。この規定は、似ていることに加えて図利加害目的を要件にしています。

  3. ウ他社の商標に似たドメイン名を取得し、その会社のログイン画面に似せたページで会員のIDを集める。

    正解。他人の商品等表示と類似のドメイン名を、利用者をだまして利益を得る目的で取得し使用しています。 類似性と図利加害目的の両方がそろうので、ドメイン名の不正取得等の行為に当たります。

  4. エどの企業の商号や商標とも重ならない一般的な単語のドメイン名を、転売する目的で多数取得し保有する。

    誤り。転売目的という動機はあっても、他人の商品等表示と同一・類似ではないので、この規定の対象になりません。 不正競争防止法が守るのは、他人の名称や標章に結びついた信用です。

理解を深めるために

「他人の名前」と「悪い目的」の2つがそろったときだけ

他社のブランド名に似たドメイン名は、利用者から見ると本物のサイトと区別がつきません。 これを悪用すれば、ブランドの信用にただ乗りしたり、利用者をだましたりできます。 不正競争防止法は、このようなドメイン名の取得・保有・使用を不正競争の一つとしています。 ただし、似たドメイン名を持っているだけで違法になるわけではありません。

規定の要件

条文は、不正の利益を得る目的、または他人に損害を加える目的(図利加害目的)で、 他人の特定商品等表示(氏名・商号・商標など)と同一か類似のドメイン名を使用する権利を 取得し、保有し、またはそのドメイン名を使用する行為、と定めています。

  • 他人の商品等表示と同一・類似であること
  • 図利加害目的があること
  • 取得・保有・使用のいずれか(サイトを開設していなくても、取得・保有だけで対象になりうる)

類似のドメイン名で偽のログイン画面を置く行為は、利用者のIDを不正に集める点で不正アクセス禁止法の問題にもなりますが、 ドメイン名の側から見れば、類似性と図利加害目的がそろった典型例です。 自社ブランドを守る担当者としては、防衛的な取得と、類似ドメイン名の監視が現実的な対策になります。

混同しやすいものとの違い

事例 他人の表示と類似 図利加害目的 判断
類似ドメイン名で偽のログイン画面 あり あり 当たる
自社商標に似たドメイン名の防衛的取得 なし(自社の表示) なし 当たらない
偶然同じ商号での正当な事業利用 あり なし 当たらない
一般的な単語のドメイン名の転売目的取得 なし あり 当たらない

試験では、2つの要件のうちどちらが欠けているかを事例から読み取らせます。「似ているか」と「目的は何か」を別々に確かめます。

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