問題 7★★☆

経理部門が請求書の受付を新しいシステムに切り替えるにあたり、二重支払や架空請求が起こりうる要因を洗い出し、 影響の大きさと起こりやすさで評価して、どれに手を打ちどれを受け入れるかを決めた。 この取組みの位置づけとして最も適切なものはどれか。

正解:ア

各選択肢の解説

  1. ア内部統制の基本的要素のうち、リスクの評価と対応にあたる。

    正解。目的の達成を妨げる要因を識別し、影響と起こりやすさで評価して、 回避・低減・移転・受容のどれを取るかを決める一連の流れが、リスクの評価と対応です。

  2. イ内部統制の基本的要素のうち、統制活動にあたる。

    誤り。統制活動は、承認・照合・職務の分離など、決めた対応を業務の中で実行させる方針と手続です。 「どれに手を打つか」を決めるのはその手前の段階で、決めた結果として統制活動が置かれます。

  3. ウ内部統制の基本的要素のうち、モニタリングにあたる。

    誤り。モニタリングは、すでに動いている内部統制が有効に機能し続けているかを継続的に評価することです。 切替えの前に起こりうる要因を洗い出す取組みは、統制を評価しているのではありません。

  4. エ内部統制の基本的要素のうち、統制環境にあたる。

    誤り。統制環境は、経営者の姿勢や倫理観、組織構造など、ほかの要素すべての土台になる組織の気風です。 特定の業務の変更に伴うリスクを個別に評価する取組みとは、扱う範囲が違います。

理解を深めるために

「何が起こりうるか」を決めてから「どう防ぐか」に進む

引っ越しの前に、新居で起こりそうな困りごとを書き出し、「鍵の交換は必ずやる」「多少の騒音は我慢する」と 決めるのに似ています。手を打つかどうかを決める段階と、実際に鍵を付け替える段階は別物です。 問題の経理部門が行ったのは前者で、これがリスクの評価と対応です。

リスクの評価と対応の中身

内部統制の基本的要素は、統制環境・リスクの評価と対応・統制活動・情報と伝達・モニタリング・ITへの対応の6つです。 このうちリスクの評価と対応は、次の流れをたどります。

  • 組織の目的の達成を妨げる要因(リスク)を識別する
  • 影響の大きさと発生の可能性で評価する
  • 回避・低減・移転・受容などから対応を選ぶ

システムの切替えや新しい取引の開始は、リスクの姿が変わるきっかけです。 変化の前に評価し直すことで、二重支払の照合のように手を打つべき箇所が決まり、それが統制活動として業務に組み込まれます。

混同しやすい要素との違い

基本的要素 何をするか
リスクの評価と対応 妨げになる要因を識別・評価し、対応を選ぶ
統制活動 選んだ対応を承認・照合などの手続として実行させる
モニタリング 動いている統制が有効に機能しているかを評価し続ける
統制環境 経営者の姿勢や組織構造など、全要素の土台

「対応を決める段階か、決めた対応を実行する段階か、実行が続いているかを確かめる段階か」で切り分けます。

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