正解:イ
各選択肢の解説
ア請求書の金額を発注データと自動で照合する機能を、受付システムに組み込む。
誤り。これはITに係る業務処理統制です。個々の請求書という取引のデータを正しく処理させる統制で、 IT環境を把握した結果として置かれるものです。把握そのものではありません。
イ取引先の電子化の状況や自社業務のシステムへの依存度を把握し、統制の前提を見直す。
正解。IT環境への対応は、組織を取り巻くITの状況や、業務がどれだけITに頼っているかを理解し、 それを踏まえて統制のあり方を決めることです。照合の仕組みを考える出発点になります。
ウ受付システムのアクセス権の管理と、プログラムの変更手続を定めて運用する。
誤り。これはITに係る全般統制です。業務処理統制が働く土台としてシステムそのものを管理する統制で、 外部のIT環境の変化をつかむ取組みとは対象が違います。
エ部門内の連絡を紙の回覧から社内ポータルに移し、規程の改定を即時に伝える。
誤り。これは情報と伝達をITで効率よく行うもので、ITの利用にあたります。 ほかの基本的要素を支えるためにITを使う取組みで、組織を取り巻くIT環境を理解する取組みではありません。
理解を深めるために
まず「周りがどう変わったか」をつかむ
町の道路が舗装されて車が増えたのに、歩行者向けの信号のままでは事故が増えます。 信号を付け替える前に、交通の様子が変わったことをつかむ必要があります。 取引先の電子化で照合が追いつかなくなった経理部門も同じで、仕組みを足す前に 自社を取り巻くITの状況と、業務のITへの依存度を把握するのが出発点です。これがIT環境への対応です。
「ITへの対応」の中身
ITへの対応は内部統制の基本的要素の1つで、大きく次のように分けて考えます。
- IT環境への対応: 社会や取引先でのITの浸透、自社の取引でのITの利用状況、依拠している情報システムの状況などを理解し、それを踏まえて対応する
- ITの利用: ほかの基本的要素(情報と伝達、モニタリングなど)を有効にするためにITを使う
- ITの統制: 業務に組み込まれたITに対する統制。システムを管理する全般統制と、個々の取引を正しく処理させる業務処理統制がある
IT環境への対応で状況をつかんだ結果、自動照合(業務処理統制)や、そのシステムの管理(全般統制)が必要だと決まります。
混同しやすいものとの違い
| 区分 | この場面での例 |
|---|---|
| IT環境への対応 | 取引先の電子化や業務のシステム依存度を把握し、統制の前提を見直す |
| ITに係る業務処理統制 | 請求金額を発注データと自動照合する |
| ITに係る全般統制 | 受付システムのアクセス権と変更手続を管理する |
| ITの利用 | 規程の改定を社内ポータルで即時に伝える |
「外の状況を理解する取組みか、ITを道具として使うのか、ITそのものを統制するのか」で切り分けます。