正解:エ
各選択肢の解説
ア承認の手続を定めた規程を改めて全員に周知し、事前承認の徹底を求める。
誤り。これは情報と伝達にあたる取組みです。手続を知らなかったことが原因なら効きますが、 この場面の問題は、守られなくなっても誰も気づけなかったことです。 周知しただけでは、次に崩れたときもまた気づけません。
イアクセス権の付与に伴うリスクを洗い出し、影響と起こりやすさを評価し直す。
誤り。これはリスクの評価と対応です。無断の付与というリスクはすでに識別され、 事前承認という対応も決まっています。崩れたのは評価ではなく、決めた手続が守られているかの確認です。
ウ課長の承認に加えて部長の承認も必要とし、承認の段階を一つ増やす。
誤り。統制活動を厚くする案ですが、手続が守られているかを確かめる仕組みが無いままでは、 増やした承認も繁忙期に同じく後回しになりえます。段階を増やしても、崩れに気づく力は増えません。
エ付与日と承認日を毎月突き合わせ、事前承認が守られているかを確かめて報告する。
正解。内部統制が有効に働き続けているかを継続的に確かめるのがモニタリングです。 業務の中で定期的に点検すれば、監査を待たずに崩れに気づいて是正できます。
理解を深めるために
ルールを作るのと、守られているかを見るのは別の仕事
体重を減らそうと「夜食は禁止」と決めても、体重計に乗らなければ、いつ崩れたかに気づけません。 ルール(統制活動)は作っただけでは長持ちせず、守られているかを確かめる仕組みが要ります。 それがモニタリングです。
モニタリングの2つの形
モニタリングは、内部統制が有効に機能しているかを継続的に評価するプロセスです。
- 日常的モニタリング: 通常の業務に組み込んで行う点検(付与記録と承認記録の月次の突合せなど)
- 独立的評価: 業務から独立した立場で定期的・随時に行う評価(内部監査など)
この場面では独立的評価(内部監査)が崩れを見つけましたが、それまで半年近く誰も気づいていません。 部門の中に日常的モニタリングが無かったことが弱点です。見つかった不備は、 是正に責任を持つ人へ報告して直すところまでがモニタリングの役割です。
混同しやすい要素との違い
| 基本的要素 | この場面での打ち手 |
|---|---|
| モニタリング | 事前承認が守られているかを定期的に確かめて報告する |
| 統制活動 | 承認の段階を増やす(守られているかは確かめない) |
| 情報と伝達 | 規程を周知する(知っていても崩れた場面には効かない) |
| リスクの評価と対応 | リスクを評価し直す(リスクも対応もすでに決まっている) |
「手続が無い」のか「手続が守られなくなったことに気づけない」のかを見分けると、モニタリングの出番がわかります。