正解:イ
各選択肢の解説
ア再び雇う可能性もあるので、元従業員の個人番号として期限を設けずに保管しておく。
誤り。番号法は、個人番号を含む情報の保管を、法律で認められた事務に必要な場合に限っています。 「将来また必要になるかもしれない」という見込みは保管の理由になりません。 再び雇ったときには、改めて本人から提供を受けて取得し直します。
イ事務の必要がなくなり保存期間も過ぎたので、個人番号をできるだけ速やかに廃棄・削除する。
正解。番号法は、法定の事務に必要な場合を除いて個人番号の保管を禁じています。 事務の必要がなく保存期間も過ぎたなら、できるだけ速やかに廃棄または削除します。
ウ個人情報保護法は消去を努力義務にとどめるので、社内規程で決めた期間まで保管する。
誤り。個人情報保護法では、不要になった個人データの消去は努力義務です。しかし個人番号を含む 特定個人情報には、特別法である番号法の保管の制限が上乗せされます。 一般法の基準だけで判断し、社内規程の期間を優先するのは順序が逆です。
エ本人の同意を得たうえで、退職者名簿の管理番号として個人番号を引き続き使う。
誤り。個人番号を使えるのは、社会保障・税・災害対策などの法律で定められた事務に限られます。 通常の個人情報は本人の同意で利用目的を広げられますが、個人番号は同意があっても その範囲を超えて使えません。社内の管理番号に流用するのは目的外の利用です。
理解を深めるために
個人番号は「使い終わったら手放す」番号
個人番号は、会社が自由に持っておける番号ではありません。役所に出す書類を作るために 一時的に預かっている合鍵のようなもので、用事が済み、保管が求められる期間も過ぎたら返す(捨てる)のが原則です。 「念のため取っておく」が許されない点が、ふつうの個人情報と大きく違います。
なぜ保管まで制限されるのか
マイナンバー法(行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律)は、 個人番号を含む個人情報(特定個人情報)について、個人情報保護法に上乗せする形で厳しいルールを定めた特別法です。
- 個人番号を使えるのは、社会保障・税・災害対策などの法律で定められた事務に限られる
- 特定個人情報の収集・保管も、法律で認められた場合に限られる
- 事務に必要がなくなり、所管の法令で定められた保存期間を過ぎたら、できるだけ速やかに廃棄または削除する
具体的な取扱いは、個人情報保護委員会の「特定個人情報の適正な取扱いに関するガイドライン」に 示されています。雇用が続いている従業員の番号は翌年以降の事務のために保管できますが、 退職して事務がなくなれば、保存期間の経過を待って廃棄・削除に進みます。
混同しやすいものとの違い
| 考え方 | 個人番号(特定個人情報) | 通常の個人データ |
|---|---|---|
| 不要になった後の扱い | できるだけ速やかに廃棄・削除(義務) | 遅滞なく消去するよう努める(努力義務) |
| 将来に備えた保管 | できない | 利用目的の範囲で可能 |
| 本人の同意による目的の拡大 | できない | 可能 |
| 適用される法律 | 番号法が上乗せ(特別法) | 個人情報保護法 |
試験では、個人情報保護法の感覚で「同意があれば」「社内規程で決めれば」と考えた選択肢が置かれます。 個人番号は法律が使い道と持ち方の両方を決めている、と押さえておきましょう。