問題 1★★★

通信販売を営む企業で、配送のために取得した顧客の購買履歴を、商品企画部門が 新商品開発の社内分析に使いたいと相談してきた。この分析は当初の利用目的に含まれておらず、 データも分析結果も社外には出さない。個人情報保護法に照らした進め方として最も適切なものはどれか。

正解:イ

各選択肢の解説

  1. ア氏名と電話番号を削除すれば個人情報ではなくなるので、そのまま社内の分析に使う。

    誤り。会員IDなどで社内の顧客台帳と容易に照合できれば、氏名を消しても個人情報のままです。 「名前が無ければ個人情報ではない」という誤解です。仮名加工情報として扱うには、 法定の加工基準を満たし、削除した情報を安全に管理することが要ります。

  2. イ法定の基準で仮名加工情報に加工し、変更後の利用目的を公表して社内の分析に使う。

    正解。仮名加工情報には利用目的の変更の制限が適用されないので、変更後の利用目的を 公表すれば、当初の目的を超えた社内分析に使えます。社外に出さない分析向けの制度です。

  3. ウ仮名加工情報に加工すれば、本人の同意なしに提携先企業へ販売して分析させられる。

    誤り。仮名加工情報は、法令に基づく場合を除き第三者提供が原則禁止です(委託・共同利用などは 第三者に当たらない扱い)。同意なしの提供ができるのは匿名加工情報のほうで、 「社内で使う仮名」「外に出せる匿名」と目的で切り分けます。

  4. エ社内利用でも目的外の利用になるので、匿名加工情報に加工しない限り分析には使えない。

    誤り。匿名加工情報への加工も一つの方法ですが、「それしかない」わけではありません。 仮名加工情報に加工して変更後の利用目的を公表する方法や、本人の同意を得る方法もあります。 匿名加工は復元できない水準まで加工するため、細かい分析には向かないこともあります。

理解を深めるために

「社内で使う」なら仮名加工情報

仮名加工情報は、社内での分析のために用意された加工の仕組みです。台帳の名前の欄に 黒い紙を貼り、手元の対応表がなければ誰のことか分からなくしたうえで、自社の中だけで 分析に使う、というイメージです。対応表(削除した情報)は鍵をかけて別に保管します。

なぜ利用目的を超えて使えるのか

通常の個人情報は、利用目的を変えられる範囲に制限があり、関連性のない目的に 使うには原則として本人の同意が要ります。仮名加工情報(個人情報であるもの)は、 他の情報と照合しない限り本人を識別できないよう加工してあるため、次の扱いになります。

  • 利用目的の変更の制限が適用されない。変更後の利用目的を公表すれば使える
  • 第三者提供は原則禁止(法令に基づく場合を除く。委託・共同利用などは第三者に当たらない)
  • 本人を識別するために他の情報と照合すること、本人に連絡することは禁止

つまり「外に出さない代わりに、社内では柔軟に使える」という交換条件の制度です。

混同しやすいものとの違い

方法 社内で目的外に使えるか 本人の同意なしの第三者提供
仮名加工情報 変更後の利用目的を公表すれば使える 原則不可
匿名加工情報 使える(復元できない水準まで加工) 公表等をすれば可
氏名・電話番号を消しただけ 容易に照合できれば個人情報のまま 不可
加工しない個人情報 本人の同意が原則必要 原則不可

試験では「データを外に出すか、社内にとどめるか」で匿名と仮名を選び分けます。 氏名を消しただけのデータは、どちらの制度にも当たらない点にも注意しましょう。

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