問題 35★★☆

部門のリスク対応策の一覧を、リスクコントロールとリスクファイナンシングに分けて 整理している。リスクファイナンシングに当たるものはどれか。

正解:エ

各選択肢の解説

  1. ア顧客データのバックアップを別の拠点にも保管し、被害の範囲を小さくする。

    誤り。これはリスクコントロールです。お金の話に見えないので迷いにくい一方、 「被害が出た後に効く」点でファイナンシングと混同されがちです。被害そのものを 小さくする手立てか、出た損失を払う資金の手当てかで区別します。

  2. イ管理画面へのログインに多要素認証を導入し、不正ログインを起きにくくする。

    誤り。これはリスクコントロールです。発生可能性を下げるリスク低減の典型で、 事故そのものに手を打っています。ファイナンシングは事故が起きる前提で、 損失を払うお金をどう用意するかを決めるものです。

  3. ウ利用者の少ない旧Webサービスを廃止し、そのサービスで起こりうる事故をなくす。

    誤り。これはリスクコントロールのうちのリスク回避です。原因となる活動を やめて、リスクそのものを無くしています。損失に備えてお金を用意する ファイナンシングとは、事故に向き合う手段が違います。

  4. エ事故が起きたときの復旧費用に充てるため、毎年一定額の資金を積み立てておく。

    正解。事故の起きやすさや被害の大きさは変えず、生じた損失を払う資金を 前もって用意しています。自社で損失を負う保有を、積立金で裏づけるリスクファイナンシングです。

理解を深めるために

事故を「減らす」か、損失を「払えるようにする」か

火事への備えにたとえると、消火器を置く・火の元を減らすのがリスクコントロール、 火災保険に入る・修繕費を積み立てるのがリスクファイナンシングです。前者は 火事そのものに手を打ち、後者は燃えた後のお金の手当てをします。

なぜ2つに分けて考えるのか

  • リスクコントロールは、発生可能性や影響の大きさを直接小さくする手立て。 リスク回避(活動をやめる)とリスク低減(対策で抑える)がここに入る
  • リスクファイナンシングは、事故は起こりうるものとして、損失を誰の どのお金で払うかを決める手立て。保険などで負担を他者に移すリスク移転と、 積立金などで自社が負担するリスク保有の裏づけがここに入る
  • コントロールだけでは損失はゼロにならず、ファイナンシングだけでは事故は 減らない。両方を組み合わせて対応計画を立てる

混同しやすいものとの違い

対応策 分類 何に手を打っているか
復旧費用の積立て ファイナンシング(保有) 生じた損失を払う資金
サイバー保険への加入 ファイナンシング(移転) 損失の負担を保険会社へ移す
多要素認証の導入 コントロール(低減) 事故の起きやすさ
別拠点へのバックアップ コントロール(低減) 被害の範囲
旧サービスの廃止 コントロール(回避) 原因となる活動そのもの

バックアップは事故の後に効くので紛らわしいですが、データという被害そのものを 小さくしています。「お金を用意しているか」で見分けると迷いません。

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