問題 9★★★

顧客情報を扱うWebサービスで、リスク対応計画に沿って対策を実施した。 再評価すると、リスクはリスク受容基準を下回ったがゼロにはなっていない。 この残ったリスクについて、次に行うこととして最も適切なものはどれか。

正解:ウ

各選択肢の解説

  1. ア残ったリスクがゼロになるまで対策を追加し、ゼロになった時点で計画を完了とする。

    誤り。リスクをゼロにすることを目標にする誤解です。どれだけ対策を重ねても リスクは残り、費用だけが膨らみます。受容基準を下回ったなら追加の対策は 求められず、残りをどう扱うかを決める段階に進みます。

  2. イ基準を下回ったので対応は済んだものとし、以後の見直しの対象から外す。

    誤り。受け入れたリスクを放置する誤解です。新しい攻撃手法や業務の変化で、 残留リスクは後から大きくなることがあります。受容したあとも監視し、 定期的なリスクアセスメントで見直す対象に残します。

  3. ウ残るリスクの内容を示してリスク所有者の受容の承認を得て、変化を監視し続ける。

    正解。残留リスクは、そのリスクに責任を持つリスク所有者が内容を理解したうえで 受け入れを承認します。受け入れたあとも、状況の変化で大きくならないかを見続けます。

  4. エ情報セキュリティ担当者が受容を判断し、リスク所有者には知らせずに記録だけ残す。

    誤り。受容を決める立場を取り違えています。担当者は対策の実施や評価を担いますが、 リスクを受け入れるかどうかは、そのリスクの結果に責任を持つリスク所有者が 判断します。知らされないまま受容されると、責任の所在があいまいになります。

理解を深めるために

残ったリスクは「誰かが引き受けた」状態にして見張る

対策を打ってもリスクはゼロになりません。鍵を二重にしても、窓ガラスを割られる 可能性は残ります。大事なのは、残った分を誰が引き受けたのかをはっきりさせ、 その後も様子を見続けることです。

なぜ承認と監視が要るのか

  • リスク対応の後に残るリスクを残留リスクと呼ぶ。対策の効果を見込んだうえで、 なお残る分である
  • リスク受容基準を下回っていれば、追加の対策ではなく受け入れを決める段階に進む
  • 受け入れを決めるのは、そのリスクを管理する責任と権限を持つリスク所有者。 担当者が独断で済ませると、事故が起きたときに誰の判断だったのかが分からなくなる
  • 受け入れたリスクも固定ではない。新しい脆弱性や攻撃手法、扱う情報の増加で 大きくなりうるので、監視し、次のリスクアセスメントで見直す

混同しやすい扱い方との違い

扱い方 何が問題か
所有者の承認を得て受容し、監視する 適切。責任の所在と見直しの機会が残る
ゼロになるまで対策を追加する ゼロにはならず、費用が膨らむだけ
対応済みとして見直しから外す 状況の変化でリスクが大きくなっても気づけない
担当者が判断し所有者に知らせない 受け入れを決める立場が違い、責任があいまいになる

試験では「残留リスク」と出たら、ゼロにするのではなく「受容の承認」と「監視」の 2つがそろっているかで選択肢を見分けます。

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