問題 65★★☆

Webの受発注システムで、取引先から「その数量では発注していない」と主張された。 自社のログには取引先のIDでの発注操作が残っていたが、取引先は「自社が持つ記録は 書き換えられる」として認めなかった。そこで発注データに取引先の電子署名を付けて もらう方式に改めた。この見直しで確保しようとしている特性として、最も適切なものはどれか。

正解:ウ

各選択肢の解説

  1. ア責任追跡性

    誤り。責任追跡性は、操作をした利用者まで一意にたどれることです。今回は自社のログで 取引先のIDによる操作だとたどれており、責任追跡性はすでにありました。足りなかったのは、 その記録を相手が否定できない証拠にすることです。

  2. イ完全性

    誤り。完全性は、情報が正確で、改ざんや欠落がないことです。電子署名は改ざんの検知にも 使えますが、今回のきっかけはデータが壊れたことではなく、相手が発注したこと自体を 認めなかったことです。何で困ったのかで切り分けます。

  3. ウ否認防止

    正解。否認防止は、行為をした本人が後から「していない」と否定できないようにすることです。 取引先自身の秘密鍵で付けた署名は自社では作れないので、自社の記録と違い、第三者にも示せる証拠になります。

  4. エ真正性

    誤り。真正性は、利用者やデータが主張どおりの本物であること、つまりなりすましでないことです。 今回は発注の時点で誰かが取引先を装ったわけではなく、本物の取引先が後から 発注の事実を否定したことが問題です。

理解を深めるために

「やっていない」と言わせないのが否認防止

自社のログに「取引先のIDで発注された」と残っていても、そのログを持っているのは自社です。 相手からすれば「都合よく書き換えたのではないか」と言えてしまいます。 自分の手元の記録は、相手に対しては証拠として弱いのです。

取引先自身の秘密鍵で電子署名を付けてもらえば、事情が変わります。秘密鍵を持っているのは 取引先だけなので、署名付きの発注データは自社が後から作ったり書き換えたりできません。 だから第三者にも「取引先が発注した」と示せます。

なぜ責任追跡性だけでは足りないのか

  • 責任追跡性: 操作と利用者を結び付け、誰がやったかをたどれる状態にする(個別ID、操作ログ)
  • 否認防止: たどれた結果を、本人が否定できない証拠にする(電子署名、タイムスタンプ)

否認防止は責任追跡性の一段先にあります。社内の不正調査ならログでたどれれば足りることが 多いですが、取引先のように利害が対立しうる相手には、相手が自分で作った証拠が要ります。

混同しやすいものとの違い

特性 問いかけ 代表的な手段
否認防止 本人が後から否定できないか 電子署名、タイムスタンプ
責任追跡性 誰の操作かをたどれるか 個別ID、操作ログ
完全性 改ざんや欠落がないか ハッシュ値の照合、変更管理
真正性 主張どおりの本物か 認証、電子証明書

電子署名は完全性や真正性の確保にも使われるため、手段から特性を選ぶと迷います。 場面の中で何に困ったのか(壊れた/偽物だった/たどれない/否定された)を読んで選びます。

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