問題 66★★★

営業部は、会員の住所や購入履歴を扱うWebサービスを外部に委託して新しく開発する。 公開の時期が迫っているため、委託先からはセキュリティ対策を後回しにする案が出ている。 セキュリティバイデザインの考え方に沿った進め方として、最も適切なものはどれか。

正解:エ

各選択肢の解説

  1. ア機能の開発を優先し、公開直前の脆弱性診断で見つかった問題をまとめて直す。

    誤り。脆弱性診断は必要な工程ですが、作り終えてから問題を探す後工程の対策です。 設計の段階で入り込んだ弱点が公開直前に見つかると、作り直しが間に合わず、 弱点を残したまま公開しかねません。最初から作り込むのがセキュリティバイデザインです。

  2. イ機能の設計は変えずに、公開後にWAFを導入して外部からの攻撃を防ぐ。

    誤り。WAFはWebアプリケーションの前に置いて攻撃の通信を遮断する仕組みで、作った後に 外側から守る対策です。アプリケーション自体の弱点は残るので、WAFで防げない攻撃が 来れば被害が出ます。設計で弱点を作らないこととは考え方が逆です。

  3. ウ公開後に攻撃や事故が起きた箇所から、優先して対策を追加していく。

    誤り。被害が出た箇所を後から直していく事後対応の進め方です。会員の個人情報は 一度漏えいすると取り戻せないので、起きてから直す順序では間に合いません。 対策を考え始める時期が、企画・設計より大きく遅れています。

  4. エ要件定義の段階で守る情報と想定される脅威を洗い出し、対策を要件に含める。

    正解。セキュリティバイデザインは、企画・設計の段階からセキュリティを要件として組み込む 考え方です。要件に入れておけば、委託先との契約や設計、テストの範囲にも反映でき、 後からの手戻りも減ります。

理解を深めるために

「後から足す」ではなく「最初から作り込む」

家を建てた後で耐震補強をするより、設計図の段階で耐震構造にしておくほうが確実で安くつきます。 セキュリティバイデザインも同じで、企画・設計の段階からセキュリティを要件に含めておく考え方です。

委託開発では特に効きます。要件に書かれていない対策は、委託先にとって「頼まれていない仕事」です。 要件定義の段階で守る情報(会員の住所や購入履歴)と想定される脅威を洗い出し、対策を要件に 書いておけば、契約・設計・テストの範囲に自然に入ります。

なぜ後工程の対策だけでは足りないのか

  • 公開直前の脆弱性診断: 見つけることはできても、設計からの作り直しは間に合わないことが多い
  • 公開後のWAF: 外側から攻撃の通信を止めるだけで、アプリケーションの弱点そのものは残る
  • 事故が起きてからの対策: 漏えいした個人情報は取り戻せない

診断やWAFが不要という意味ではありません。上流で作り込んだうえで、診断で確かめ、 WAFで重ねて守るのが本来の順序です。後工程の対策を、上流の作り込みの代わりにしないことが要点です。

混同しやすいものとの違い

進め方 対策を考える時期 弱点の扱い
セキュリティバイデザイン 企画・要件定義から 作らない
公開直前の脆弱性診断だけ 開発の終わり 見つけて直す
公開後のWAFだけ 公開後 残したまま外側で防ぐ
事故後の個別対策 被害が出た後 被害が出てから直す

試験では「いつから考えるか」で見分けます。選択肢の中で最も早い段階から対策を組み込む ものがセキュリティバイデザインです。

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