問題 17★★☆

社内のAI利用ルールを作る担当者が、参考にしたAI事業者ガイドラインについて 「これは法律なのか」と尋ねられた。この文書の性格の説明として、最も適切なものはどれか。

正解:ウ

各選択肢の解説

  1. ア国会の議決を経て成立した法律で、AIの研究開発と活用の推進を国の方針として定めている

    誤り。これは人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する法律の説明です。 法律は国会の議決で成立しますが、ガイドラインは省庁が作る文書です。 どこで決められたものかが、両者の決定的な違いです。

  2. イ法律に基づいて政府が定める計画で、国がこれから進めるAI政策の方向性を示している

    誤り。これは人工知能基本計画の説明です。名前が似ていて紛らわしいところですが、 計画は国自身が何をするかを書いた文書です。ガイドラインは民間の事業者に向けて 書かれており、読み手が違います。

  3. ウ省庁が示す指針で、法的な拘束力はなく、事業者が自主的に取り組むことを促している

    正解。総務省と経済産業省が策定する文書で、違反しても直ちに罰則が科される 性質のものではありません。それでも、社会から信頼を得るための実務上の目安として 広く参照されています。

  4. エ国が示した理念で、AIを活用する社会が目指す姿を人間の尊厳を守る立場から示している

    誤り。これは人間中心のAI社会原則の説明です。どちらも拘束力のない文書ですが、 原則は社会全体の在り方を語る理念で、ガイドラインは事業者が現場で何をすべきかを 書いた実務の文書です。抽象度が違います。

理解を深めるために

「守らないと罰せられるのか」で分ける

AIをめぐる国の文書は名前が似ていて混同しがちですが、 誰が決めたかと従わなかったときどうなるかで整理できます。

AI事業者ガイドラインは、総務省と経済産業省が策定する指針です。 国会で決めた法律ではないので、そこに書かれた事項に従わなかったからといって、 それ自体で罰せられるわけではありません。事業者が自主的に取り組むための 目安という位置付けです。

拘束力がなくても軽くはない

罰則がないことと、無視してよいことは別です。

  • 取引先から、ガイドラインに沿った体制かどうかを確認されることがある
  • 利用者に不利益が生じれば、個人情報保護法など別の法律の問題になり得る
  • 技術の変化に合わせて改定が重ねられており、内容は実務に即している

つまり、法的な強制力ではなく、社会からの信頼を通じて働く文書だと考えると 性格をつかみやすくなります。

名前が似ている三つ

文書 誰が決め、何を書いているか
AI事業者ガイドライン 総務省・経済産業省の指針。拘束力はない
人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する法律 国会が成立させた法律。推進を主眼とする
人工知能基本計画 政府が法律に基づいて定める計画。改定が重ねられる

「ガイドライン」「法律」「計画」は、それぞれ省庁の指針、国会の議決、 政府の計画と成り立ちが違います。試験では、この三つの取り違えが狙われます。

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