問題 33★★★

D社は、全拠点の受発注と在庫の記録を一元管理している基幹システムを刷新する システム化計画を立案している。このシステムの性格を踏まえて計画で重視する点として、 最も適切なものはどれか。

正解:イ

各選択肢の解説

  1. ア利用者の反応を見ながら機能を小刻みに足せるよう、短い周期での公開を前提にする。

    誤り。これはSoE(Systems of Engagement)で重視する点です。顧客向けアプリのように 使う人の反応が価値を決めるシステムでは有効ですが、受発注や在庫の記録は 作り替えの頻度が低く、頻繁に変えるほど誤りが入り込む危険が増えます。

  2. イ記録の正確性と安定稼働を最優先し、十分な検証期間を取って計画的に切り替える。

    正解。受発注や在庫を正確に記録する基幹システムはSoR(Systems of Record)です。 誤りや停止がそのまま取引に響くため、正確さと安定性を守る計画が求められます。

  3. ウ社内外のデータを集めて傾向をつかめるよう、多角的な分析機能の充実を最優先にする。

    誤り。これはSoI(Systems of Insight)で重視する点です。SoIはSoRやSoEがためた データを読み解いて気付きを得る側のシステムです。D社の刷新対象は分析ではなく、 取引を記録する土台そのものなので、優先すべきものが違います。

  4. エ止まっても業務への影響は小さいとみて、可用性の確保よりも開発費用の削減を優先する。

    誤り。社内の試行用ツールのように、止まっても困らないシステムなら成り立つ考え方です。 全拠点の受発注と在庫を扱う基幹システムは、止まれば出荷も発注も滞るため、 この前提が当てはまりません。条件を取り違えた選択肢です。

理解を深めるために

基幹システムは「帳簿」だと考える

受発注や在庫の記録は、会社の帳簿のようなものです。帳簿に求められるのは、 見た目の新しさでも分析の便利さでもなく、「書いたことが正しく残り、いつでも見られる」ことです。 こうした記録のためのシステムを SoR(Systems of Record) と呼びます。

なぜ性格によって計画が変わるのか

システム化計画では、作るシステムの性格を見極めてから、品質・進め方・期間を決めます。

  • SoR — 取引や事実を記録する。誤りや停止がそのまま損害になるので、正確性と安定稼働を優先し、 検証に時間をかけて計画的に切り替える
  • SoE — 顧客や利用者とつながる。反応を見て素早く直すことが価値になるので、短い周期で作り替える
  • SoI — SoRやSoEにたまったデータを分析して気付きを得る。分析のしやすさや データ連携の広さが問われる

同じ会社の中でも、この三つは求めるものが正反対になることがあります。 基幹システムをSoEのやり方で作ると、業務の土台が揺らぎます。

混同しやすいものとの違い

種類 目的 計画で重視すること
SoR 記録する 正確性、安定稼働、計画的な切替え
SoE つながる 短い周期での公開と改善
SoI 気付きを得る データの収集と分析のしやすさ

問題文に「受発注」「在庫」「会計」「基幹」とあればSoRです。 選択肢では、そのシステムが止まったときの影響の大きさから、何を優先すべきかを考えます。

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