正解:エ
各選択肢の解説
ア受注は営業部が受け付け、出荷の前に経理部が取引先の与信枠を確認する。
誤り。これは業務要件です。どの部署が、どの順で、何をするかという業務の流れを 定めたもので、システムがなくても成り立つ決まりごとです。業務要件を満たすために システムに何をさせるかを決めたものが機能要件です。
イ月末の繁忙時に200人が同時に使っても、画面の応答を3秒以内に保つ。
誤り。これは非機能要件です。何をするかではなく、どれくらいの速さや量に耐えるかという 性能を定めています。同じ画面の話でも、「何を表示するか」なら機能要件、 「どれだけ速く表示するか」なら非機能要件と切り分けます。
ウ新しいシステムの稼働開始は来年4月とし、開発費用は3千万円以内とする。
誤り。これは納期と予算という、プロジェクトを進めるうえでの制約条件です。 システム化計画で見通しを立て、要件定義でも前提として扱いますが、 システムが持つべき機能や性能を定めたものではないため、要件の種類には当たりません。
エ受注の入力時に取引先コードを入れると、取引先名と与信の残額を画面に表示する。
正解。システムが何を受け取り、何を処理して、何を返すかという「働き」を定めています。 業務の流れを支えるためにシステムに持たせる機能なので、機能要件です。
理解を深めるために
「業務の決まり」と「システムの働き」を分ける
レストランで考えると、「注文は店員が聞き、料理長が確認してから調理する」は店の仕事の決まりです。 これが業務要件にあたります。そのうえで「注文端末に料理名を入れたら、在庫切れの食材を知らせる」と 道具にさせることを決めたものが機能要件です。「混雑時でも1秒で反応する」は非機能要件になります。
なぜ段階を分けて決めるのか
要件定義は、次の順に具体化していくのが基本です。
- 業務要件定義 — 誰が、どの順で、何をするかという業務のあるべき流れを決める
- 機能要件定義 — その業務を支えるため、システムが何を入力し、処理し、出力するかを決める
- 非機能要件定義 — 性能、可用性、セキュリティなど、機能をどの程度の質で提供するかを決める
業務の流れが固まらないうちに機能を決めると、使われない画面ができたり、 必要な処理が抜けたりします。機能は業務を支えるための手段なので、業務要件が先になります。
混同しやすいものとの違い
| 分類 | 定めるもの | E社の例 |
|---|---|---|
| 業務要件 | 業務の流れ、役割分担 | 営業部が受け付け、経理部が与信を確認 |
| 機能要件 | システムの働き(入力・処理・出力) | コード入力で取引先名と与信残額を表示 |
| 非機能要件 | 性能、可用性などの質 | 200人同時利用で応答3秒以内 |
| 制約条件 | 納期、予算など | 来年4月稼働、3千万円以内 |
「システムが〜する」と主語がシステムで、何を表示・計算・登録するかを書いていれば機能要件です。 数値で速さや量を指定していれば非機能要件と見分けます。