正解:ア
各選択肢の解説
ア経営層が責任をもち、情報システム部門と利用部門が加わって経営戦略に沿って検討する
正解。情報システム戦略は経営戦略を実現するための手段なので、経営の意思を 反映できる経営層が責任をもちます。そこに技術を知る情報システム部門と、 業務を知る利用部門が加わることで、全社の視点でまとまります。
イ情報システム部門が単独で、最新技術の動向を基準に導入する技術と製品を選んで決める
誤り。技術を起点にした進め方です。情報システムの話なので専門部門に任せれば よいと考えがちですが、戦略の出発点は技術ではなく経営戦略です。 経営層も利用部門も関わらないと、経営の目標や業務の実態とずれたものになります。
ウ複数のベンダに提案を求め、費用が最も低い提案の内容をそのまま自社の戦略として採る
誤り。これは調達の場面での委託先の選び方に近い進め方です。提案を求めること自体は 調達で行いますが、それは自社の戦略が決まった後の話です。自社の経営戦略を 知らない外部に、向かう先の決定まで委ねることはできません。
エ各部門から現行システムへの改善要望を集め、件数の多いものから順に対応を決めていく
誤り。これは稼働中のシステムの保守・改善の進め方です。現場の声を聞く点は よさそうに見えますが、要望の積み上げは今あるシステムの延長にとどまります。 経営戦略から全社のあるべき姿を描くという出発点が欠けています。
理解を深めるために
家を建てるとき、間取りを決めるのは誰か
家を建てるとき、大工さんは工法や材料に詳しいですが、何人で住み、 どんな暮らしをしたいかを知っているのは施主です。施主が関わらずに建てた家は、 造りが立派でも暮らしに合いません。情報システム戦略も同じで、 会社がどこへ向かうかを決める立場の人が関わらないと、的を外します。
なぜ経営層が責任をもつのか
情報システム戦略は、経営戦略を実現するために情報システム全体をどうするかを 定めるものです。出発点が経営戦略である以上、次の三者がそろう必要があります。
- 経営層 … 経営戦略との整合を判断し、投資の優先順位を決める。責任を負う立場
- 情報システム部門 … 技術面の実現性や、現行システムの状況を示す
- 利用部門 … 業務の実態と、業務上の課題を示す
情報システム部門だけで作ると技術に寄り、利用部門の要望だけで作ると 部門ごとの都合の寄せ集めになります。どちらも全社の視点が抜けるので、 経営層が責任をもって束ねます。策定した戦略は、全社の中長期の計画である 情報システム化基本計画へと具体化されていきます。
混同しやすい進め方との違い
| 進め方 | 起点 | 足りないもの |
|---|---|---|
| 経営層が責任をもち関係部門が参画 | 経営戦略 | なし |
| 情報システム部門だけで決める | 技術の動向 | 経営の目標、業務の実態 |
| ベンダの提案をそのまま採る | 外部の提案と費用 | 自社の経営戦略 |
| 改善要望を多い順に対応する | 現行システムへの不満 | 全社のあるべき姿 |
試験では「誰が」「何を起点に」の二つを見ます。経営戦略を起点にし、 経営層が関わっている選択肢が、情報システム戦略の策定として適切な進め方です。