問題 18★★★

2025年に全面施行された「人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する法律 (AI基本法)」が定めている内容の説明として、最も適切なものはどれか。

正解:エ

各選択肢の解説

  1. アAIが生成した文章や画像に生成物である旨の表示を義務付け、違反者に罰則を科す。

    誤り。この法律に罰則規定はありません。AIの法律と聞くと違反を取り締まる規制法を 想像しがちですが、性格が逆で、研究開発と活用を後押しするための法律です。 生成物への表示を一律に義務付ける規定も置かれていません。

  2. イAIの学習に個人データを使う際の本人同意の手続を定め、違反した事業者に命令を出す。

    誤り。これは個人情報保護法が受け持つ領域です。AIの学習に使う場合でも、個人情報の 取得・利用目的・第三者提供のルールは個人情報保護法に従います。個人の権利利益を 守る規制法と、技術の振興を図る推進法は別の法律だと切り分けます。

  3. ウAIの用途をリスクの高さで区分し、高リスクの用途に事前の適合性評価を義務付ける。

    誤り。これはEUのAI規則(AI Act)が採る、リスクの段階ごとに規制を変える考え方です。 日本のこの法律は用途を区分して事前規制をかける仕組みを採らず、国の調査研究と 指導・助言・情報提供によって適正な開発と活用を促す形をとっています。

  4. エ基本理念と国の責務を定め、内閣に人工知能戦略本部を置いて基本計画を作らせる。

    正解。研究開発と活用の推進を主眼とする法律で、条文の多くは国の施策の方向付けに あてられています。内閣に人工知能戦略本部を置き、人工知能基本計画を策定します。

理解を深めるために

取り締まる法律ではなく、押し上げる法律

「AIの法律」と聞くと、危ないAIを禁止したり違反者に罰金を科したりする姿を思い 浮かべがちです。この法律はそちらではありません。日本のAI開発・活用が遅れて いるという課題意識から、国がAI関連技術の研究開発と活用を総合的・計画的に 推進するための土台を作る法律で、罰則規定を持ちません。

何が置かれているか

  • 目的は国民生活の向上と国民経済の発展。イノベーション促進とリスク対応の両立が軸
  • 国・地方公共団体・研究開発機関・活用事業者・国民それぞれの責務を定める(活用事業者には、国等の施策に協力することが求められる)
  • 内閣に、内閣総理大臣を本部長とする人工知能戦略本部を設置する
  • 政府は人工知能基本計画を策定し、研究開発の推進や人材育成、国際協力などを進める
  • 国は調査研究を行い、その結果に基づいて指導、助言、情報の提供などの措置を講ずる

2025年6月4日に公布され、人工知能戦略本部などの規定を含めて同年9月1日に全面施行 されました。シラバスでは「AI基本法」と略しますが、内閣府や報道では「AI法」とも 呼ばれます。理念と国の体制を定める基本法型だと押さえるのが近道です。

混同しやすいものとの違い

法律 性格と守備範囲
AI基本法 AI関連技術の研究開発と活用の推進(罰則なし)
個人情報保護法 個人情報の取扱いを義務付ける規制法(命令・罰則あり)
デジタル社会形成基本法 デジタル社会形成全体の基本理念と施策の方針
EUのAI規則(AI Act) 用途をリスクで区分し高リスクに事前規制

「推進」「基本計画」「戦略本部」という語が出たら推進法の側、「義務」「命令」 「罰則」が前面に出ていたら規制法の側、と読み分けられます。

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