正解:ア
各選択肢の解説
アVCM。自社の活動を価値の連鎖として捉え、どこで価値が生まれるかを見て全体の価値を高める。
正解。VCM(バリューチェーンマネジメント)は、主活動と支援活動のどこで価値が生まれ、どこに費用がかかっているかを把握し、 価値を生む活動に力を集めて全体の価値を高めます。F社の洗い出しは、その出発点にあたります。
イSCM。取引先を含めて調達から販売までのモノの流れを最適化し、在庫や欠品を減らす。
誤り。SCMは、原材料の調達から販売までの流れを取引先を含めて最適化し、在庫の積み上がりや欠品を防ぐ取組みです。 「チェーン」「調達から販売まで」と言葉が似ていますが、SCMが見るのはモノと情報の流れの滞りです。 活動ごとに生む価値と費用を比べて強みを伸ばすのはVCMです。
ウERP。販売・生産・会計・人事などの基幹業務の情報を統合し、経営資源を一元管理する。
誤り。ERPは、部門ごとに分かれていた販売・生産・会計・人事などのデータを統合し、会社全体の経営資源を一元管理する仕組みです。 すべての活動を横断する点が似ていますが、ERPはデータを一か所にまとめる基盤です。 どの活動が価値を生んでいるかを評価して力の配分を決める考え方ではありません。
エBPR。いまの業務のやり方を前提にせず、業務プロセスを根本から設計し直す。
誤り。BPR(ビジネスプロセスリエンジニアリング)は、既存の業務の進め方を白紙に戻し、プロセスを抜本的に作り直す手法です。 業務全体を見直す点で近いですが、F社は作り直すのではなく、 価値を生んでいる活動を見極めて強化しようとしています。
理解を深めるために
「どの活動が価値を生んでいるか」を分けて見る
同じ家具でも、「デザインが良いから選ばれる」会社と「壊れたらすぐ直してくれるから選ばれる」会社では、 力を入れるべき活動が違います。会社の活動を一続きの鎖(チェーン)として並べ、 どの輪で価値が生まれているかを見極めて全体の価値を高めようとするのが **VCM(Value Chain Management:バリューチェーンマネジメント)**です。
バリューチェーンの見方
元になっているのは、マイケル・ポーターが示したバリューチェーン(価値連鎖)の考え方です。企業の活動を2種類に分けます。
- 主活動:購買物流、製造、出荷物流、販売・マーケティング、サービス。製品が顧客に届くまでの流れに直接関わる活動
- 支援活動:全般管理、人事・労務管理、技術開発、調達。主活動全体を支える活動
F社の「購買・製造・出荷・販売・修理サービス」は主活動に、「技術開発や人事」は支援活動にあたります。 それぞれの活動が生む価値と費用を比べると、「修理サービスが顧客の決め手になっているのに人手が足りない」 「製造にかけている費用ほど価値が伝わっていない」といった強み・弱みが見え、力の配分を決められます。
混同しやすいものとの違い
| 名称 | 何を見て、何をよくするか |
|---|---|
| VCM | 活動ごとに生まれる価値と費用。価値を生む活動を強化し全体の価値を高める |
| SCM | 取引先を含めたモノと情報の流れ。在庫や欠品を減らす |
| ERP | 基幹業務のデータ。統合して一元管理する |
| BPR | 業務プロセスそのもの。根本から作り直す |
バリューチェーンの考え方を取引先まで広げて捉えることもありますが、その場合も軸は「価値」です。 試験では「価値を生む活動」「主活動・支援活動」ならVCM、「在庫」「欠品」「流れ全体の最適化」ならSCMと読み分けます。