問題 18★★★

B社の内部監査部門が、販売管理システムを対象とするシステム監査を初めて行うことになった。 監査を始めるにあたっての考え方として、最も適切なものはどれか。

正解:ア

各選択肢の解説

  1. ア監査の目的と対象範囲、監査人の権限と責任を、文書化した監査規程などで定めておく。

    正解。システム監査基準の基準1は、監査の目的や対象範囲と、監査人の権限と責任を 文書化された規程等で定めることを求めています。外部に委託する場合は契約書などに書きます。

  2. イ監査で指摘した不備は、監査人が自ら改善を行い、完了まで責任を負うと取り決める。

    誤り。改善を実施する責任は監査対象の側(経営者や対象部門)にあります。 監査人が改善の実施そのものに責任を負うことはなく、改善が適切に行われているかを フォローアップして報告する立場です。自分で直すと、次の監査で自分の仕事を評価することになります。

  3. ウ販売管理システムの変更は、監査人が事前に内容を審査して承認する手続を設ける。

    誤り。変更の承認は、システムを管理する側が行う統制活動です。監査人がそこに加わると、 監査の対象である統制の一部を自分が担うことになり、独立性と客観性が損なわれます。 監査人の権限は検証・評価のためのもので、業務を決める権限ではありません。

  4. エシステム監査は法令で義務付けられており、権限と責任も法令の定めに従えばよいとする。

    誤り。システム監査は法令で義務付けられていない任意監査です(システム監査基準の前文)。 法令が権限を与えてくれるわけではないので、組織が自ら規程などで定めておかないと、 監査人は資料の提出や説明を求める根拠を持てません。

理解を深めるために

監査の「委任状」を先に書いておく

システム監査は、他部門に資料を見せてもらい、説明を求め、評価を下す活動です。 何の根拠もなく「見せてください」と言っても、相手が応じる理由がありません。 そこで、監査の目的・対象範囲・監査人の権限と責任を、あらかじめ文書で定めておく ことが出発点になります。いわば組織から監査人への委任状です。

なぜ文書で定めるのか

  • システム監査は法令で義務付けられていない任意監査。法令が権限を与えてくれないので、 組織が自分で定める必要があります
  • 経済産業省のシステム監査基準は、基準1「システム監査に係る権限と責任等の明確化」で これを求めています。内部で行うなら内部監査規程など、外部に委託するなら契約書などに書きます
  • 規程は組織体全体に周知しておきます。監査を受ける部門も、監査人に何ができるかを 知っていなければ協力できないからです

権限と責任の線引き

監査人の役割は、検証・評価して保証や助言を行うところまでです。 業務を決めたり、改善を実行したりするのは監査される側の仕事です。

行為 誰が担うか
監査の目的・範囲・権限と責任の文書化 組織(規程・契約書で監査人に与える)
不備の改善の実施 監査対象の側(監査人はフォローアップして報告)
システム変更の承認 システムを管理する側(監査人が担うと独立性を損なう)
監査の義務付け 法令にはない(システム監査は任意監査)

「監査人が業務や改善に手を出す」選択肢は、独立性の観点から誤りになると覚えておくと、 権限と責任を問う問題はほぼ見分けられます。

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