正解:イ
各選択肢の解説
ア法令に違反しないことを指し、社内規程や倫理は別の取組みとして扱う。
誤り。コンプライアンスを「法令遵守」と訳すことから生まれやすい、範囲を狭く取った誤解です。 法令に触れなくても、社内のルールを破ったり社会から不誠実と受け取られたりすれば 信用は失われます。企業のコンプライアンスは、社内規程や社会の規範まで含めて考えます。
イ法令だけでなく、社内規程や社会の規範・倫理に沿って行動することも含む。
正解。企業が守るべきものは法律の条文だけではありません。社内規程や業界の決まり、 社会の規範や倫理まで含めて守ることで、取引先や顧客からの信頼が保たれます。
ウ株主や社外取締役などが経営者の判断を監視し、規律付ける仕組みを指す。
誤り。これはコーポレートガバナンスの説明です。コンプライアンスと並べて語られますが、 ガバナンスは経営を「監視する仕組み」、コンプライアンスは企業が「守る行動」です。 主語が監視する側か、守る側かで区別します。
エ業務の手順に承認や照合を組み込み、誤りや不正を防ぐ仕組みを指す。
誤り。これは内部統制の説明です。内部統制は法令等の遵守も目的の一つに含むため 混同しやすいのですが、業務に組み込む具体的な手順や体制のことです。 コンプライアンスは守るべき中身と姿勢、内部統制はそれを実現する仕組みです。
理解を深めるために
「法律に書いていないから大丈夫」は通らない
コンプライアンスはよく「法令遵守」と訳されます。ただ、企業の現場で求められているのは もっと広い範囲です。
たとえば、取引先からの高額な贈り物を受け取っても直ちに法律で罰せられるわけではない場面でも、 社内規程で禁止されていれば受け取るべきではありません。また、規程にも法律にも 書いていない行為でも、社会から「不誠実だ」と受け止められれば、会社の信用は大きく傷つきます。 守る対象は法令だけでなく、社内規程と社会の規範・倫理まで含むと押さえておきましょう。
なぜ範囲が広いのか
- 法令は社会の変化より遅れて整備されることが多く、法令だけを基準にすると判断が遅れる
- 企業の評判を落とすのは違法行為だけではない。SNSなどで不誠実な対応はすぐ広まる
- 社内規程は、法令や社会の要請を自社の業務に合わせて具体化したもの。破れば組織の統制が崩れる
このため多くの企業が行動規範や倫理規程を定め、研修や相談窓口を通じて浸透を図っています。
混同しやすいものとの違い
| 用語 | 位置づけ |
|---|---|
| コンプライアンス | 法令・社内規程・社会規範・倫理を守って行動すること |
| 法令遵守だけと捉える誤解 | 範囲を法令に限ってしまい、規程違反や倫理面の問題を見落とす |
| コーポレートガバナンス | 株主や社外取締役などが経営を監視し、規律付ける仕組み |
| 内部統制 | 承認・照合などを業務に組み込み、誤りや不正を防ぐ仕組み |
「守る」「法令だけでなく規範や倫理まで」ならコンプライアンス、 「監視」「規律付け」ならガバナンス、「業務の手順に組み込む」なら内部統制と見分けます。