問題 24★★☆

D社の購買規程では「10万円以上の発注は部長の承認を得る」と定め、発注と支払処理の担当者も 分けている。しかし、部長の承認がないまま支払まで進んだ発注が後から見つかった。 再発を防ぐ取組として、最も適切なものはどれか。

正解:ア

各選択肢の解説

  1. ア支払を処理する前に、経理担当者が発注ごとに承認の記録があるかを照合する。

    正解。チェック体制の確立です。規程も分担も整っていたのに、守られたかを確かめる工程が なかったため見逃されました。支払の前に照合を置けば、承認のない発注はそこで止まります。

  2. イ「10万円以上は部長承認」の規程を、購買に関わる全社員にあらためて周知する。

    誤り。実施ルールの設定をやり直す取組です。周知に意味はありますが、規程はもともと ありました。ルールがあっても守られたかを確かめる工程がなければ、うっかりでも 故意でも、承認漏れは次も素通りします。

  3. ウ発注から支払までの作業の流れを、担当者名を入れた業務フロー図に書き直す。

    誤り。業務プロセスの明確化です。流れの整理は構築の出発点ですが、D社は担当まで 決まっており、流れが分からないことが原因ではありません。 図を書き直しても、承認の有無を確かめる工程は増えません。

  4. エ承認漏れが担当者の故意によるものか、うっかりによるものかを調べて記録する。

    誤り。誤謬(意図しない誤り)と不正(意図的な行為)を区別する話です。 原因を知る調査としては意味がありますが、どちらと分かっても、 次の承認漏れを止める仕組みにはなりません。内部統制はその両方を防ぐ対象にしています。

理解を深めるために

決まりは、確かめる人がいて初めて効く

チェック体制の確立は、決めたルールどおりに業務が行われたかを確かめる仕組みを、 業務の中に組み込むことです。上長の承認、別の担当者による照合、定期的な点検などが これにあたります。

駐車場の「関係者以外駐車禁止」の看板にたとえられます。看板を立てただけでは 停める人は出てきます。入口で許可証を確かめる係がいて、はじめて決まりが守られます。 D社の規程は看板まで立っていたのに、確かめる係がいなかった状態です。

なぜ照合が効くのか

  • 規程(実施ルール)はすでにあり、発注と支払の担当も分かれていた
  • それでも、支払担当が「承認があるか」を確かめる工程がなかった
  • 支払の直前に照合を置けば、承認のない発注はそこで止まる

構築の流れでいえば、業務プロセスの明確化 → リスクの洗い出し → 職務分掌・実施ルールの設定 → チェック体制の確立、の最後の段階が抜けていたことになります。

混同しやすいものとの違い

用語 中身
チェック体制の確立 ルールどおりに行われたかを承認・照合・点検で確かめる
実施ルールの設定 業務をどの基準・手順で行うかを規程やマニュアルで定める
業務プロセスの明確化 業務の流れと担当を調べ、図や文書で見える形にする
誤謬と不正 内部統制が防ぐ対象。意図がなければ誤謬、あれば不正

「ルールはあるのに守られなかった」という場面では、ルールを作り直すより、 守られたかを確かめる工程が欠けていないかを疑うのが定石です。

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