正解:ア
各選択肢の解説
ア支払を処理する前に、経理担当者が発注ごとに承認の記録があるかを照合する。
正解。チェック体制の確立です。規程も分担も整っていたのに、守られたかを確かめる工程が なかったため見逃されました。支払の前に照合を置けば、承認のない発注はそこで止まります。
イ「10万円以上は部長承認」の規程を、購買に関わる全社員にあらためて周知する。
誤り。実施ルールの設定をやり直す取組です。周知に意味はありますが、規程はもともと ありました。ルールがあっても守られたかを確かめる工程がなければ、うっかりでも 故意でも、承認漏れは次も素通りします。
ウ発注から支払までの作業の流れを、担当者名を入れた業務フロー図に書き直す。
誤り。業務プロセスの明確化です。流れの整理は構築の出発点ですが、D社は担当まで 決まっており、流れが分からないことが原因ではありません。 図を書き直しても、承認の有無を確かめる工程は増えません。
エ承認漏れが担当者の故意によるものか、うっかりによるものかを調べて記録する。
誤り。誤謬(意図しない誤り)と不正(意図的な行為)を区別する話です。 原因を知る調査としては意味がありますが、どちらと分かっても、 次の承認漏れを止める仕組みにはなりません。内部統制はその両方を防ぐ対象にしています。
理解を深めるために
決まりは、確かめる人がいて初めて効く
チェック体制の確立は、決めたルールどおりに業務が行われたかを確かめる仕組みを、 業務の中に組み込むことです。上長の承認、別の担当者による照合、定期的な点検などが これにあたります。
駐車場の「関係者以外駐車禁止」の看板にたとえられます。看板を立てただけでは 停める人は出てきます。入口で許可証を確かめる係がいて、はじめて決まりが守られます。 D社の規程は看板まで立っていたのに、確かめる係がいなかった状態です。
なぜ照合が効くのか
- 規程(実施ルール)はすでにあり、発注と支払の担当も分かれていた
- それでも、支払担当が「承認があるか」を確かめる工程がなかった
- 支払の直前に照合を置けば、承認のない発注はそこで止まる
構築の流れでいえば、業務プロセスの明確化 → リスクの洗い出し → 職務分掌・実施ルールの設定 → チェック体制の確立、の最後の段階が抜けていたことになります。
混同しやすいものとの違い
| 用語 | 中身 |
|---|---|
| チェック体制の確立 | ルールどおりに行われたかを承認・照合・点検で確かめる |
| 実施ルールの設定 | 業務をどの基準・手順で行うかを規程やマニュアルで定める |
| 業務プロセスの明確化 | 業務の流れと担当を調べ、図や文書で見える形にする |
| 誤謬と不正 | 内部統制が防ぐ対象。意図がなければ誤謬、あれば不正 |
「ルールはあるのに守られなかった」という場面では、ルールを作り直すより、 守られたかを確かめる工程が欠けていないかを疑うのが定石です。