問題 30★★☆

業務用ソフトを提供するB社には、安定稼働のため修正版の公開は毎月の定例日に限る という運用ルールがある。繁忙期に入った顧客から、画面の不具合で毎日1時間の余計な 作業が出ていると連絡があった。次の定例日は3週間後である。担当者の行動として、 最も適切なものはどれか。

正解:イ

各選択肢の解説

  1. アルールは安定稼働のために定めたものなので、次の定例日まで待ち、それまでは手作業での対応を顧客に依頼する。

    誤り。ルールの文面は守れていますが、顧客が繁忙期に毎日1時間を失うという事実を 判断に入れていません。決まりに従うこと自体が目的になっており、既存の基準を そのまま当てはめた前例踏襲に当たります。

  2. イルールの目的に照らし、影響の小さい修正に限って臨時公開する案を、検証手順と条件を添えて責任者と決める。

    正解。行動例「既存の価値観に基づく判断が難しい状況においても、価値創造に向けて 必要であれば、臨機応変に意思決定を行っている」に当たります。ルールの目的 (安定稼働)を守る手立てを示したうえで、適用範囲を限って決めています。

  3. ウ顧客が困っている以上急ぐべきだと考え、責任者に諮らずにその日のうちに修正版を公開してしまう。

    誤り。顧客を思う気持ちは正しいのですが、検証も合意もないまま公開すれば、 ルールが防ごうとしていた別の障害を招きかねません。臨機応変とは、ルールを 無視してよいという意味ではなく、目的を守りながら例外を設計することです。

  4. エ運用ルール自体を見直す必要があると考え、ルールが改定されてから臨時公開の可否を検討することにする。

    誤り。ルールの見直し提案は妥当ですが、改定を待つ間に繁忙期は過ぎてしまいます。 仕組みを直すことと、目の前の判断を下すことは別に進められます。 判断を制度の整備に預けてしまった点で、動かなすぎる失敗です。

理解を深めるために

ルールは「何を守るため」にあるのか

定例日にまとめて公開するルールは、検証を十分に行い、障害を減らすために作られて います。目的は安定稼働であって、日付そのものではありません。

そう考えると、この場面の問いは「ルールを守るか破るか」ではなく、 安定稼働を守ったまま、顧客の損失を止める方法があるかになります。 修正の影響範囲が狭く、検証の手順を決められるなら、条件を限った臨時公開という 答えが作れます。

例外を「設計する」とはどういうことか

独断との差は、決める前に次を示せるかどうかです。

  • 対象を限る(この不具合の修正だけ、この顧客の環境だけ)
  • 確かめ方を決める(何をどこまで検証してから出すか)
  • 元に戻す手立てを用意する(問題が出たら戻せるか)
  • 責任者と合意し、記録を残す

ここまで示して決めるなら、それはルール違反ではなく、目的に沿った判断です。

4つの行動の比較

行動 どこが問題か
条件を限った臨時公開を責任者と決める ルールの目的を守りつつ価値を届けている
定例日まで待って手作業を依頼する 決まりに従うこと自体が目的になっている
諮らずにその日のうちに公開する 検証も合意もない独断
ルール改定を待って判断する 判断を先送りし、機会を逃す

試験では、動かない選択肢と独断の選択肢が両側に置かれます。 目的に戻っているか、範囲と根拠を示して合意しているかで見分けてください。

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