正解:エ
各選択肢の解説
ア平均が前年より改善している以上、苦情は一部の特殊な例と考え、個々の申出への対応は現場の担当者に任せる。
誤り。平均が良いことは事実ですが、それは全体をならした値にすぎません。 苦情という別の事実が増えているのに、都合のよい数字だけを根拠に例外扱い しています。合わないデータが2つあるとき、片方を捨てるのは判断ではありません。
イ苦情のあった数件の配達記録だけを調べて原因を決め、その対策をすべての地域に同じように広げていく。
誤り。苦情は実際に起きた事実ですが、申し出た人はごく一部です。 その数件から全体の原因を決めれば、たまたま重なった事情を全体の傾向と 取り違えます。一部だけを取り出して結論を出している点は、平均だけを見るのと同じです。
ウ平均をさらに5分短くする目標を全担当者に示し、毎月の達成状況を管理することで苦情を減らそうとする。
誤り。平均を追えば、遠い1件を後回しにして近い数件を先に回すなど、 平均だけが良くなる動きを招きかねません。苦情が何によって起きているかを 確かめないまま、同じ指標を強めている状態です。
エ平均だけでなく1件ごとの所要時間のばらつきを調べ、大きく遅れた配達がいつどこで起きたかを確かめる。
正解。行動例「勘や経験のみではなく、客観的な事実やデータに基づいて、物事を 見たり、判断したりしている」に当たります。平均という1つの値で終わらせず、 分布と発生条件という事実まで踏み込んで確かめています。
理解を深めるために
平均が良くても、苦情は減らない
平均配達所要時間が短くなり、苦情が増える。矛盾しているように見えますが、 同時に起こります。多くの配達が少しずつ速くなる一方で、一部の便だけが 大きく遅れていれば、平均は下がり、遅れた相手は不満を口にするからです。
苦情を言うのは、平均的な体験をした人ではありません。極端に悪い体験をした人です。 平均は、その人たちの存在を数字の中に埋めてしまいます。
平均のほかに見るもの
- ばらつき…1件ごとの所要時間がどれだけ散らばっているか
- 極端な値…大きく遅れた配達が何件あり、どれくらい遅れたか
- 発生の条件…地域・時間帯・曜日・天候などに偏りがないか
「木曜の夕方に、この地域だけが大きく遅れる」と分かれば、手の打ちどころが決まります。 平均を5分縮める目標を配るより、はるかに具体的です。
4つの行動の比較
| 行動 | 見ている事実 |
|---|---|
| ばらつきと発生条件を確かめる | 全体の分布と、極端に遅れた件の中身 |
| 苦情を特殊な例として現場に任せる | 都合のよい平均値だけ |
| 苦情の数件から原因を決める | 一部の事例だけ |
| 平均をさらに短くする目標を配る | 同じ平均値を追っているだけ |
事実に基づく判断は、数字を見れば成り立つものではありません。 一つの値で全体を語っていないかを疑うところから始まります。