正解:エ
各選択肢の解説
ア特定の個人を識別できる情報であれば、名簿として整理されていない個人情報も対象になる。
誤り。これは個人情報の範囲であり、本人の請求権が及ぶ範囲より広すぎます。 机上の名刺や未整理の問合せメールまで一件ずつ開示させるのは現実的でないため、 法は請求の対象をもう一段絞り込んでいます。
イ個人情報データベース等を構成する個人データであれば、開示等の権限の有無を問わない。
誤り。これは個人データの範囲です。委託を受けて預かっているだけで、自社の判断 では直せないデータまで請求の対象にすると、受託者が勝手に内容を書き換えること になってしまいます。権限があるかどうかがもう一つの条件です。
ウ本人を識別できないよう復元不可能に加工した匿名加工情報も、本人の請求の対象になる。
誤り。匿名加工情報は特定の個人を識別できないよう加工した情報です。誰の情報か を特定できない以上、本人が「自分の分を見せてほしい」と指定することもできず、 開示や訂正の請求にはなじみません。
エ個人データのうち、事業者が開示や訂正、利用停止に応じる権限を持つ保有個人データ。
正解。本人の請求権が結び付くのは三層の一番内側にある保有個人データです。 整理されていること(個人データ)に加えて、事業者が自ら直したり消したりできる 権限を持っていることが条件になります。
理解を深めるために
「直せる人」にしか請求できない
役所の窓口で住所の誤りを訂正してもらう場面を思い浮かべてください。訂正を頼めるのは、 その台帳を管理している役所です。台帳の写しを預かって印刷しているだけの業者に 「直してくれ」と言っても、業者には直す権限がありません。個人情報保護法の請求権も 同じ発想で、自ら開示・訂正・削除できる立場の事業者に対してだけ行使できます。
三層のどこに請求権が付くか
個人情報・個人データ・保有個人データは入れ子の関係で、義務も内側ほど重くなります。
- 個人情報:利用目的の特定、利用目的の通知・公表、適正な取得
- 個人データ:安全管理措置、従業者・委託先の監督、第三者提供の制限
- 保有個人データ:利用目的等の公表、そして本人からの開示・訂正・利用停止等への対応
本人の請求権が出てくるのは最後の段だけです。保有個人データになるには、個人情報 データベース等を構成していること(=個人データであること)と、事業者が開示・訂正・ 追加・削除・利用停止・消去・第三者提供の停止を行う権限を有していることの両方が要り ます。なお、保存期間が6か月以内の短期データを除外する扱いは2022年4月に廃止され、 現在は保存期間の長短で保有個人データかどうかは変わりません。
混同しやすいものとの違い
| 用語 | 本人の請求権 |
|---|---|
| 個人情報 | 対象外。利用目的の特定など取扱いの入口の義務にとどまる |
| 個人データ | 対象外。安全管理措置や第三者提供の制限が課される |
| 保有個人データ | 開示・訂正・利用停止等の請求に応じる義務がある |
| 匿名加工情報 | 対象外。本人を識別できないため請求の前提が成り立たない |
試験では「本人が開示を求められるのはどれか」の形で問われます。整理されているか、 自社で直せるか、の2点を順に確認してください。