正解:ア
各選択肢の解説
ア個人情報の有用性に配慮しながら、個人の権利利益を保護する。
正解。同法は保護一辺倒の法律ではありません。個人情報の適正かつ効果的な活用が 新しい産業や豊かな国民生活に役立つという有用性に配慮したうえで、個人の権利 利益を保護することを目的として掲げています。
イ個人情報の収集と利用を禁じ、事業での取扱いを認めない。
誤り。利用を一律に禁止する法律だという誤解です。目的を特定して本人に示す、 必要な範囲で使うといった定められた手順を守れば、取得も分析も第三者提供も できます。使わせないのではなく、使い方のルールを定めた法律です。
ウ事業者間の公正で自由な競争を確保し、消費者の利益を守る。
誤り。これは独占禁止法の目的です。同じく事業者を規律する法律ですが、守る 対象が市場の競争か、個人の権利利益かという点で目的がまったく異なります。 個人情報の取扱いが競争を害するかどうかは、同法の関心事ではありません。
エ電気通信役務の円滑な提供を確保し、利用者の利益を保護する。
誤り。これは電気通信事業法の目的です。守る対象が電気通信の利用者に限られる 点が、業種を問わずすべての事業者に適用される個人情報保護法と違います。なお 通信の秘密の保護は、同法が目的とは別の条で事業者に課している義務です。
理解を深めるために
守るための法律であって、使わせない法律ではない
個人情報保護法は「個人情報を使ってはいけない」と決めた法律だと思われがちですが、 実際は逆です。条文の目的には、個人情報の適正かつ効果的な活用が新しい産業や豊かな 国民生活に役立つという有用性への配慮が明記され、そのうえで個人の権利利益を保護 すると書かれています。道路交通法が車の運転を禁止する法律ではなく、安全に走るための ルールを定めた法律であるのと同じ関係です。
二つの要請のバランスを取る
- 活用の側:目的を決めて本人に知らせる、必要な範囲で使う、といった手順を守れば、 取得も分析も第三者提供もできる
- 保護の側:目的外利用の禁止、安全管理措置、本人からの開示や利用停止の請求への 対応など、取扱う側に義務を課す
どちらか一方に振り切らず、均衡を取ることを目的に掲げている点がこの法律の性格です。 なおこの均衡を国全体で監督しているのは個人情報保護委員会で、以前は業種ごとに各省庁 が所管していましたが、現在は民間事業者から行政機関まで横断して一元化されています。
混同しやすい法律との違い
| 法律 | 目的 |
|---|---|
| 個人情報保護法 | 有用性に配慮しつつ、個人の権利利益を保護する |
| 独占禁止法 | 公正で自由な競争を確保する |
| 電気通信事業法 | 電気通信役務の円滑な提供を確保し、利用者の利益を保護する |
試験では「一律に禁止」「収集そのものを認めない」といった言い回しが誤答の目印に なります。使うことを禁じるのではなく、活用と保護の均衡を図る法律である、と 押さえてください。