問題 32★★☆

取引先の担当者の氏名とメールアドレスが差出人欄に表示されたメールが届いたが、 本人は送信していなかった。このようなメールのなりすましに関する記述として、 最も適切なものはどれか。

正解:ア

各選択肢の解説

  1. ア差出人欄は送信側で偽装できるため、表示だけでは本人の送信と判断できない。

    正解。メールの差出人欄は、封筒の裏に書く差出人と同じで、 送る側が好きな内容を書けます。表示された氏名やアドレスが正しく見えても、 それだけでは本人が送った証拠になりません。

  2. イ差出人のアドレスが正しく表示されていれば、本人が送信したものと判断できる。

    誤り。これは受信者が最も陥りやすい思い込みです。 表示名だけでなくアドレスまで一致していると信用したくなりますが、 アドレスの表示も送信側で設定できる情報です。見た目の一致と、本人の送信は別です。

  3. ウ相手のメールサーバに侵入しない限り、差出人を偽ったメールは送信できない。

    誤り。これは不正アクセスによる乗っ取りと混同した考え方です。 アカウントを乗っ取って送る手口も実在するので紛らわしいですが、 差出人の表示を偽るだけなら、相手のサーバに入らなくても送信できます。

  4. エ暗号化された通信で受信したメールは、差出人が偽られていないと判断できる。

    誤り。これは盗聴への対策と混同しています。 通信の暗号化が防ぐのは、途中で内容を読み取られることです。 誰が送ったかを確かめる仕組みではないので、偽の差出人のメールも暗号化されて届きます。

理解を深めるために

封筒の差出人は、誰でも好きに書ける

なりすましは、他人や他の組織になりかわって行動する脅威です。 メールの場合、いちばん手軽な方法が差出人欄の偽装です。

郵便の封筒を思い浮かべてください。裏面の差出人の欄に、 他人の住所と名前を書いて投函しても、手紙はそのまま届きます。 メールの差出人欄も同じで、送る側が設定した内容がそのまま受信者の画面に表示されます。

なぜ表示を信用できないのか

メールの仕組みは、もともと送信者が本人であることを確かめる前提で作られていません。

  • 差出人の表示名もアドレスも、送信するときに送る側が指定する情報である
  • 相手のメールサーバに侵入しなくても、別のサーバから偽の差出人で送信できる
  • 通信が暗号化されていても、それは経路上の盗み見を防ぐだけで、送り主の確認にはならない

そのため、受信側のメールサーバでは、送信元のドメインが正当かどうかを確かめる 送信ドメイン認証という仕組みが使われています。それでも、よく似た別のドメインを 使われると見落としやすいため、送金や機密情報に関わる依頼は、 メール以外の手段で本人に確認するのが基本です。

思い込みと実際

思い込み 実際
表示だけでは本人と判断できない 差出人欄は送信側が設定できる
アドレスが合っていれば本人 アドレスの表示も偽装できる
サーバへの侵入(不正アクセス)が必要 侵入しなくても偽の差出人で送れる
暗号化されていれば本物 暗号化は盗聴への対策で、送り主の確認とは別

試験では「表示されているから正しい」という選択肢が誤答の定番です。 なりすましは、相手が見た目を信じることで成り立つ脅威だと押さえておきます。

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